千葉ジェッツ撃破の原動力
シーズン開幕前に、ロバート・サクレが現役引退を発表し衝撃が走ったサンロッカーズ渋谷だが、その不安を払拭するかのように、開幕戦で20得点、16リバウンド、4ブロック、2戦目で11点、15リバウンドと強烈なインパクトを残したのが、セバスチャン・サイズ。
このスタッツを残したことも驚きだが、相手は昨シーズンの準優勝チームの千葉ジェッツであったことから、その実力は本物である。
サンロッカーズ渋谷の新戦力であるセバスチャン・サイズは何者なのか。
■プロフィール
氏名   :セバスチャン・サイズ
出身   :スペイン
生年月日 :1994年7月15日(25歳)
身長   :205 cm
体重   :106 kg
出身大学 :ミシシッピ大学
ポジション:パワーフォワード/センター

■経歴
2017    :レアル・マドリード(リーガACBスペイン1部リーグ)
2017-2018:サン・パブロ・ブルゴス(リーガACBスペイン1部リーグ)
2018-2019:イベロスター・テネリフェ(リーガACBスペイン1部リーグ)

■代表歴
2010年:ヨーロッパチャンピオンシップ U-16スペイン代表
2012年:ヨーロッパチャンピオンシップ U-18スペイン代表
2013年:ヨーロッパチャンピオンシップ U-19スペイン代表
2013年:ヨーロッパチャンピオンシップ U-20スペイン代表 銅メダル
2014年:ヨーロッパチャンピオンシップ U-20スペイン代表 銀メダル
2017~:スペインA代表

幼少期から大学まで
スペインのマドリードで生まれ育ち、母親がドミニカ共和国出身のため、スペインとドミニカの国籍も持っている。
高校でアメリカのサンライズ・クリスチャン・アカデミーへ入学し、大学はミシシッピ大学へ進学。大学4年生時には、1試合平均15.1得点、11.4リバウンドを記録し、通算1,000得点、900リバウンド、100ブロックを達成した。


プロとしてスペインリーグへ
大学卒業後は、NBAのワークアウトを受けるもドラフト指名はされず、2017年にスペインのプロバスケ1部リーグ「リーガABC」の名門レアル・マドリードと契約。レンタル移籍という形で、同じリーグのサン・パブロ・ブルゴスでプレイし、34試合出場し9.1得点、4.9リバウンドを記録した。
翌年にイベロスター・テネリフェへ移籍すると、プレイタイムは減ってしまい成績も平均4.9得点、2.4リバウンドと下がってしまった。


スペイン代表での活躍
16歳の時に、U-16のスペイン代表に選出されてからは各世代別の代表に呼ばれるようになり、2013年のU-20ヨーロッパ選手権で銅メダル、翌年の2014年では平均7.3得点、6.9リバウンドを記録し、銀メダル獲得に貢献した。
2017年からスペインのA代表として選出されることも多くなり、2019年のFIBAワールドカップ予選でもメンバー入りを果たし、12試合に出場。平均6.7得点、5.8リバウンドの成績を残した。
スペイン代表の選手層の厚さから、本選のメンバーには残れなかったものの、世代交代が必要なスペイン代表にとっては将来的に主力としての活躍が期待される。


武器は驚異的な身体能力とウイングスパン
205cmの長身ながら機動力があり、リバウンドを取ってからゴール下まで駆け上がるスピードがとにかく速い。ディフェンスリバウンドや相手のターンオーバーからの速攻では気が付くとゴール下まで走りこんでおり、オフェンスリバウンドを取ってセカンドチャンスに繋げることができる。セットオフェンスでは、ピック&ロールからのインサイドアタックで得点を稼ぐこともでき、個の力で状況を打開するというよりもチームオフェンスで活きるタイプのプレイヤーである。
そして何よりも注目がウイングスパンが228cmという脅威的な長さを活かしたブロックショット。開幕戦で富樫のレイアップをランニングブロックしたプレイはリムプロテクターとしてのセンスを感じた。彼がゴール下にいることで相手はサイズがいることを意識し、なかなかドライブに行きにくいであろう。
ぎこちないシュートフォームではあるが3Pシュートを決めるスキルもあるので、アウトサイドシュートを決めだしたら現在Bリーグで活躍する外国籍プレイヤーでも彼を止めることは難しくなってくる。
唯一の懸念点としては、フィジカルコンタクトのディフェンスである。シーホース三河のガードナーや、川崎ブレイブサンダースのファジーカスなど、フィジカルで勝る相手をどう抑えるか注目である。


今後のサンロッカーズ渋谷は期待大
前述したように、昨シーズン大黒柱であったロバート・サクレが引退、満原優樹、伊藤駿などの中心メンバーが移籍して新たなチーム作りを始めた。
昨シーズンからの主力であるライアン・ケリー、ベンドラメ礼生に加え、シューターの石井講祐、田渡修人、関野剛平が加入しアウトサイドの選手層が増した。インサイドもファイ サンバ、チャールズ・ジャクソンといった機動力のあるパワープレイヤーがおり、走るバスケを展開しそうだ。
千葉ジェッツを抑えた堅守と、リーグ屈指の長距離砲と機動力を武器にどこまで順位を上げることができるか、セバスチャン・サイズの活躍と共に注目していきたい。