各チーム、Bリーグ10年間のロスター変化とシーズンサマリーまとめ
2026-27シーズンからBリーグは「Bプレミア」へと移行する。アリーナ基準や収益要件、サラリーキャップ導入など、プロリーグとしての水準を引き上げた新たなステージの幕開けだ。そして、2025-26シーズンで10年間のBリーグの歴史に一区切りがついた。
そこで、Bリーグ10年間で各チームのロスターの変化を振り返ろうと思い、今回は筆を執った次第だ。

今回取り上げるのはアルバルク東京の後編。
Bリーグ開幕からの5年間で絶対的な「常勝軍団」としての地位を確立した彼らだが、後半の5年間は激動の過渡期であった。黄金期を牽引した名将の退任、そしてチームの顔であったレジェンドたちの退団。しかし、彼らは決して「過去のチーム」にはならなかった。新たな指揮官のもと、新世代の選手たちがアルバルクのカルチャーを受け継ぎ、再び頂点へと返り咲く強靭な歩みが見えてくる。 それでは、転換期となった2021-22シーズンから、Bリーグラストとなった2025-26シーズンまでの5年間のロスターとシーズン成績、サマリーを振り返ってみよう。

2016-17シーズンの開幕から2020-21シーズンまでの前半の記事はこちら



2021-22シーズン
成績:39勝14敗(勝率.736)/東地区3位(リーグ全体4位) ※CSベスト8
ヘッドコーチ:ルカ・パヴィチェヴィッチ

ロスター詳細
No 選手名 身長/体重 前所属先 備考
2ジョーダン・テイラー187cm/84kgレバンガ北海道-
8吉井 裕鷹196cm/94kgアルバルク東京(継続)プロ契約へ移行
9安藤 周人190cm/89kg名古屋ダイヤモンドドルフィンズ-
10ザック・バランスキー193cm/93kgアルバルク東京(継続)-
11セバスチャン・サイズ205cm/106kg千葉ジェッツ-
13菊地 祥平191cm/91kgアルバルク東京(継続)このシーズン限りで退団
21平岩 玄200cm/105kgアルバルク東京(継続)-
22ライアン・ロシター206cm/105kg宇都宮ブレックス帰化枠
24田中 大貴192cm/93kgアルバルク東京(継続)-
33笹倉 怜寿187cm/80kg仙台89ERS(期限付き移籍から復帰)-
53アレックス・カーク211cm/114kgアルバルク東京(継続)-
75小酒部 泰暉187cm/84kgアルバルク東京(継続)-
■シーズンサマリー
前年のCS進出を逃した雪辱を果たすべく、ルカ体制5年目にしてクラブ史上最大規模の血の入れ替えを敢行。竹内譲次と安藤誓哉がチームを去る一方で、宇都宮の核であった帰化選手のライアン・ロシター、千葉ジェッツを優勝に導いたセバスチャン・サイズ、そしてシューターの安藤周人を一挙に獲得。カーク、ロシター、サイズというリーグ史上最強クラスのインサイド陣を形成した。
このシーズンは3年ぶりに天皇杯のファイナルラウンドへ進出したが、セミファイナルで川崎ブレイブサンダースに敗れベスト4となった。Bリーグでは圧倒的な戦力を背景に白星を重ね、39勝14敗の高勝率を記録。しかし、コロナ禍による試合中止や主力選手の細かい負傷も相次ぎ、CSクォーターファイナルでは島根スサノオマジックとの激闘の末に1勝2敗で敗退。このシーズンをもって、クラブにBリーグ初の連覇をもたらした名将ルカ・パヴィチェヴィッチHCが退任。一つの黄金時代が終わりを告げた。




2022-23シーズン

成績:42勝18敗(勝率.700)/東地区2位(リーグ全体5位) ※CSベスト4

ヘッドコーチ:デイニアス・アドマイティス


ロスター詳細

No 選手名 身長/体重 前所属先 備考
1ジャスティン・コブス191cm/95kgブドゥチノスト(モンテネグロ)-
2藤永 佳昭175cm/75㎏千葉ジェッツ-
3岡本 飛竜170cm/78kg新潟アルビレックスBB-
8吉井 裕鷹196cm/94kgアルバルク東京(継続)-
9安藤 周人190cm/89kgアルバルク東京(継続)-
10ザック・バランスキー193cm/93kgアルバルク東京(継続)キャプテン
11セバスチャン・サイズ205cm/106kgアルバルク東京(継続)-
12宇都宮 陸177cm/70kg京都産業大学特別指定選手として加入
21平岩 玄200cm/105kgアルバルク東京(継続)-
22ライアン・ロシター206cm/105kgアルバルク東京(継続)-
14イゴール・ボヤルキム182cm/84kgテルノーピリ(ウクライナ)2月に金沢武士団から期限付き移籍
24田中 大貴192cm/93kgアルバルク東京(継続)腰の負傷で長期離脱 / シーズン後退団
33笹倉 怜寿187cm/80kgアルバルク東京(継続)-
53アレックス・カーク211cm/114kgアルバルク東京(継続)シーズン後退団
75小酒部 泰暉187cm/84kgアルバルク東京(継続)-

■シーズンサマリー

リトアニア代表の指揮経験を持つデイニアス・アドマイティス新HCが就任。ルカ体制の堅守を受け継ぎつつ、オフェンスに新たな流動性をもたらす再建の年となった。

欧州トップクラスのPGであるジャスティン・コブスを獲得したものの、絶対的エースであり司令塔でもあった田中大貴が腰の負傷で長期離脱となる試練に見舞われる。天皇杯(第98回)ではクォーターファイナルで島根スサノオマジックに敗れてベスト8敗退と苦杯を舐めたが、BリーグではアドマイティスHCの強固なシステムが崩れず、小酒部泰暉ら若手が田中の穴を埋める奮闘を見せ、42勝18敗で東地区2位に。CSでは西地区2位の島根スサノウマジックと対戦し、2勝1敗でリベンジを果たしベスト4へ進出するも、千葉ジェッツの厚い壁に阻まれた。そしてこのシーズン終了後、連覇の象徴であった田中大貴とアレックス・カークが退団。チームは本格的な過渡期、そして世代交代へと舵を切ることになった。




2023-24シーズン
成績:48勝12敗(勝率.800)/東地区2位(リーグ全体2位) ※CSベスト8
ヘッドコーチ:デイニアス・アドマイティス

ロスター詳細
No 選手名 身長/体重 前所属先 備考
0橋本 竜馬178cm/81kgレバンガ北海道-
1岡本 飛竜170cm/78kgアルバルク東京(継続)-
3テーブス 海188cm/85kg滋賀レイクス-
8吉井 裕鷹196cm/94kgアルバルク東京(継続)-
9安藤 周人190cm/89kgアルバルク東京(継続)-
10ザック・バランスキー193cm/93kgアルバルク東京(継続)キャプテン
11セバスチャン・サイズ205cm/106kgアルバルク東京(継続)-
21平岩 玄200cm/105kgアルバルク東京(継続)-
22ライアン・ロシター206cm/105kgアルバルク東京(継続)-
23レオナルド・メインデル201cm/100kgU-BTクルジュ=ナポカ(ルーマニア)-
25福澤 晃平177cm/76kg茨城ロボッツ-
75小酒部 泰暉187cm/84kgアルバルク東京(継続)-
77アルトゥーラス・グダイティス208cm/115kgパナシナイコス(ギリシャ)-
■シーズンサマリー
クラブの象徴であった田中とカークが去り、新時代の幕開けとなったシーズン。再建のキーマンとして、日本代表の若き司令塔テーブス海を滋賀から獲得。さらにブラジル代表のレオナルド・メインデル、リトアニア代表のアルトゥーラス・グダイティス、そしてベテランの橋本竜馬を迎え入れ、ロスターの刷新を図った。
アドマイティスHCのもと、新加入選手たちが驚異的なスピードでシステムにフィット。天皇杯(第99回)ではセミファイナルまで進出するも、琉球ゴールデンキングスに敗れ惜しくもベスト4。しかしBリーグでは、リーグ最少失点を記録する強固なディフェンス網が完成し、レギュラーシーズンは48勝12敗(勝率.800)と圧倒的な強さを見せた。迎えたCSクォーターファイナル、ホームでの琉球戦は天皇杯の雪辱を期す歴史的な死闘(オーバータイム)となったが、わずかなリバウンドの差が明暗を分け無念の初戦敗退。圧倒的なスタッツを残しながらも、短期一発勝負での勝ち上がり方に課題を残したシーズンとなった。



2024-25シーズン
成績:50勝10敗(勝率.833)/東地区1位(リーグ全体1位) ※CS準優勝
ヘッドコーチ:デイニアス・アドマイティス

ロスター詳細
No 選手名 身長/体重 前所属先 備考
00スティーブ・ザック211cm/111kg長崎ヴェルカ2月に移籍
1岡本 飛竜170cm/78kgアルバルク東京(継続)-
2大倉 颯太185cm/83kg千葉ジェッツ新加入
3テーブス 海188cm/85kgアルバルク東京(継続)-
8轟 琉維169cm/67kg東海大学特別指定選手
9安藤 周人190cm/89kgアルバルク東京(継続)-
10ザック・バランスキー193cm/93kgアルバルク東京(継続)キャプテン
11セバスチャン・サイズ205cm/106kgアルバルク東京(継続)-
21平岩 玄200cm/105kgアルバルク東京(継続)-
22ライアン・ロシター206cm/105kgアルバルク東京(継続)-
23レオナルド・メインデル201cm/100kgアルバルク東京(継続)-
25福澤 晃平177cm/76kgアルバルク東京(継続)-
75小酒部 泰暉187cm/84kgアルバルク東京(継続)-
77アルトゥーラス・グダイティス208cm/115kgアルバルク東京(継続)-
■シーズンサマリー
前年のCS初戦敗退の雪辱を果たすべく、ロスターの成熟を選択したシーズン。ライバル・千葉ジェッツから大倉颯太を獲得し、テーブス海との強力なバックコート陣を形成した。
ロシター、サイズ、グダイティスがペイントエリアを完全に支配し、メインデルのオールラウンドな働きがチームに安定感をもたらした。強固なディフェンスはさらに研ぎ澄まされ、結果として50勝10敗という圧倒的な成績でレギュラーシーズンを駆け抜けた。
満を持して臨んだCSだったが、クォーターファイナルで因縁のライバルである千葉ジェッツと激突。死闘を繰り広げたものの、無念の敗退となった。レギュラーシーズンでの圧倒的な強さを証明し「新世代アルバルク」の完成度の高さを見せつけた一方で、短期決戦を勝ち抜く難しさを改めて痛感し、2年連続でクォーターファイナルの壁に泣く悔しいシーズンとなった。



2025-26シーズン
成績:47勝13敗(勝率.783)/東地区1位(リーグ全体1位) ※CS王座奪還
ヘッドコーチ:デイニアス・アドマイティス

ロスター詳細

No 選手名 身長/体重 前所属先 備考
00スティーブ・ザック211cm/111kgアルバルク東京(再契約)10月に契約解除
0ブランドン・デイヴィス208cm/109kg Partizan Belgrade (セルビア)新加入
2大倉 颯太185cm/83kgアルバルク東京(継続)-
3テーブス 海188cm/85kgアルバルク東京(継続)-
4ジェフリー・パーマー203cm/105kg湘南ユナイテッドBC シーズン途中加入12月に解除
5中村 浩陸176cm/76kgファイティングイーグルス名古屋新加入
9安藤 周人190cm/89kgアルバルク東京(継続)-
10ザック・バランスキー193cm/93kgアルバルク東京(継続)キャプテン
11セバスチャン・サイズ205cm/106kgアルバルク東京(継続)シーズン終了後退団
13菊地 祥平191cm/91kgアルバルク東京(継続)シーズン終了後、現役引退
17マーカス・フォスター191cm/98kgHapoel Tel Aviv(イスラエル)新加入
21平岩 玄200cm/105kgアルバルク東京(継続)-
22ライアン・ロシター206cm/105kgアルバルク東京(継続)-
25福澤 晃平177cm/76kgアルバルク東京(継続)シーズン終了後退団
33アイラ・ブラウン193cm/105kgライジングゼファーフクオカ開幕直前に獲得 10月に解除
35マイケル・オウ208cm/110kg千葉ジェッツシーズン途中 期限付き移籍にて獲得 4月に契約解除
44フランク・カミンスキー213cm/109kgラプターズ・905(NBA Gリーグ)シーズン途中加入 1月に契約解除
60チェイス・フィーラー203cm/109kg佐賀バルーナーズシーズン途中 期限付き移籍にて獲得
75小酒部 泰暉187cm/84kgアルバルク東京(継続)-
■シーズンサマリー
「GRIT UP -覚悟を決めろ-」をシーズンスローガンに掲げたアドマイティス体制の4年目。FE名古屋から中村浩陸を獲得し、ブランドン・デイヴィス、マーカス・フォスターら新外国籍選手を迎えて臨んだが、シーズンを通じて過酷な1年となった。開幕直前のアイラ・ブラウン獲得やスティーブ・ザックの再契約に続き、シーズン中にもカミンスキーやパーマー、さらにフィーラーやオウを期限付きで次々と獲得するなど激しい入れ替えを余儀なくされた。
序盤は主力の負傷離脱が響き、EASLを含め公式戦5連敗(リーグ開幕4連敗)と最悪のスタートを切る。しかしそこからチームは強靭なメンタリティで持ち直し、EASLではグループステージを首位通過(最終結果は4位)。そして第101回天皇杯では見事に勝ち上がり、14大会ぶり3度目となる優勝を果たし、クラブに久々の国内タイトルをもたらした。
Bリーグ戦も終盤に2度の5連勝を記録するなど猛追し、41勝19敗(東地区4位・全体8位)で5大会連続となるCS進出を果たす。しかし、アウェーでトップシードの長崎ヴェルカと激突したCSクォーターファイナルでは、第1戦を逆転で落とし、続く第2戦は40点差をつけられる大敗。3年連続でのCSベスト8敗退という悔しい結末となった。シーズン終了後、4年間チームを立て直したアドマイティスHCが退任。チームを長年支えた菊地祥平が現役を引退し、サイズやフォスターらも退団。Bプレミアを前に、チームは再び大きな変革の時を迎えることとなった。



■2021-22〜2025-26シーズン アルバルク東京 後半5年間の総括
Bリーグ後半の5年間、アルバルク東京が歩んだのは「偉大なる過去との決別」と、新たな血を入れながらの「強豪チームの再構築」、そして「短期決戦の壁」に挑み続けた壮絶な道のりであった。

前半5年でリーグ初連覇をもたらした名将ルカ・パヴィチェヴィッチが去り、田中大貴やアレックス・カークといった黄金期の象徴たちがチームを離れる。多くのクラブがこうした劇的な転換期に低迷する中、アルバルクはデイニアス・アドマイティス新HCのもとで新たなディフェンスの文化を植え付けた。テーブス海や小酒部泰暉といった若い才能が台頭し、Bリーグのレギュラーシーズンでは常に高い勝率を叩き出し、「常勝軍団」のメンタリティは確実に継承されていた。
2025-26シーズンには怪我人が続出するスクラップ&ビルドの苦しい状況の中で、第101回天皇杯を制覇。クラブに久々となるタイトルをもたらし、EASLでもアジアの強豪と互角に渡り合った。
しかし、Bリーグの頂点を決めるチャンピオンシップ(CS)では、あまりにも残酷な現実が待っていた。千葉Jや長崎ヴェルカといったライバルたちの前に、3年連続でクォーターファイナルの壁に跳ね返され、王座奪還の夢は叶わなかったのだ。

リーグ全体のレベルが劇的に上がり、「絶対王者」が存在しなくなった群雄割拠のBリーグ。その中でアルバルク東京が味わった天皇杯優勝の歓喜と、CSでの連続敗退というコントラストは、このリーグの過酷さを誰よりも体現していた。アドマイティスHCや菊地祥平がチームを去り、アルバルク東京はBプレミアという新時代に向けて、再び立ち上がり、超えられなかった最後の壁を破るための新たな戦いへと向かっていく。