新外国籍選手としてスコアリングガード獲得
2024年7月5日に長崎ヴェルカがマーク・スミスと2024-25シーズンの契約を交わしたと発表された。
スミスは、アメリカ出身で現在24歳と若く193cmとサイズもあるガードプレイヤーで、大学時代はNCAAディビジョンⅠの大学を3校渡り歩き、卒業後はドイツのブンデスリーガ、スペインのリーガACBでプレイ。高い得点能力とドイツ、スペインのヨーロッパのトップリーグでプレイした経験を持つマーク・スミスがどんな選手なのか紹介したい。
マーク・スミス
Mark Smith
Danke, @Mark_Smith_13! 💜
— BG Göttingen (@BGGoettingen) July 30, 2023
Unser Topscorer wechselt in die spanische Liga ACB zu @CasademontZGZ.Wir danken Mark für unzählige Highlights, neun Dreier und 33 Punkte gegen Berlin, seinen Ehrgeiz und wünschen ihm für die Zukunft nur das Beste. #veilchenimblut #göttingen pic.twitter.com/HJCaCiOJE0
■プロフィール
出身 :アメリカ合衆国
生年月日 :1999年8月16日(24歳)
身長 :193 cm
体重 :102 kg
出身校 :イリノイ大学、ミズーリ大学、カンザス州立大学
ポジション :シューティングガード
■経歴
2022-23 BG ゲッティンゲン(ブンデスリーガ)
2023-24 バスケット・サラゴサ(リーガACB)
2024-25 長崎ヴェルカ
3つの競技をプレイしたアスリート一家の長男
1999年8月16日にイリノイ州ディケーターで生まれ、両親はサザンイリノイ大学とSIUエドワーズビル校でバスケットボールをプレイし、弟のAJはサザンインディアナ大学でBASKETBALLプレイヤーとして活躍。姉のマリアはサザンミス大学でソフトボールをプレイしているアスリート一家である。
子供の頃、スミスは野球、バスケットボール、フットボールの3つの競技をプレイし、高校3年生時にはメジャーリーグの投手候補評され、ミズーリ大学に進学する予定だったが、肘を負傷し、バスケットボールに専念することになった。そして高校3年生の時、エドワーズビル高校をイリノイ州で史上初めて1位に導き、平均22得点、8リバウンド、8アシストを記録し、AP通信の州代表チームファーストチーム選出され、2017年イリノイ州男子バスケットボールゲータレード年間最優秀選手と2017年イリノイ州ミスターバスケットボールを受賞し州の注目プレイヤーとなった。
NCAAでは3つの大学でプレイし徐々に頭角を現す
高校卒業後はイリノイ大学に進学し、山形ワイヴァンズでプレイしたマイケル・フィンケが三年生として在籍し、 2017-18シーズンはルーキーながら31試合中19試合に先発出場し、1試合平均19.1分、5.8得点、1.4リバウンド、1.4アシスト、0.6スティール、FG成功率33.7%、3P成功率23.2%、FT成功率は79.6%とシーズンスタッツとしては新人選手ではまずまずの成績を収めたが、6試合では2桁得点を記録し、大学3試合目ではシーズンハイの21得点を記録しポテンシャルの高さを垣間見せた。ルーキーシーズンを終えたスミスは2018年4月14日にミズーリ大学に転校することを発表。高校時代にメジャーリーグの投手としてスカウトされていた大学でプレイすることを選択した。
新天地のミズーリ大学で迎えた二年目の2018-19シーズンでは、最初の17試合で先発出場したが、シーズン終盤は負傷のため13試合欠場することとなった。しかしながらチームで2番目に長い539分間出場し1試合平均28.4分を記録。平均得点は11.4点、5.2リバウンド、1.6アシスト、シュート成功率43.6%、3P成功率45%、FT成功率77.4%とチームの中心選手として活躍。2018年11月6日のセントラルアーカンソー戦で19得点、10リバウンドを記録し、キャリア初のダブルダブルを達成。2019年1月23日ではシーズンハイとなる6本の3P成功、22得点を記録するなどオフェンス面で成長をみせた。
ミズーリ大学3年生として迎えた2019-20シーズンでは1月28日から2月26日まで背中の負傷で欠場したが、24試合中20試合で先発出場し11試合で30分以上プレイ。1試合平均26.8分、10.0得点、3.9リバウンド、0.8アシスト、0.9スティール、FG成功率は39.3%、3P成功率は37.1%、FT成功率73.5%と昨シーズンから数字は落としたものの、1試合23得点や、1試合7本の3Pシュートを決めるなどキャリアハイを更新している。チームはサウスイースタン・カンファレンスで7勝11敗と10位タイでシーズンを終え、SECトーナメントの第2ラウンドでテキサスA&Mと対戦する予定だったが、コロナウイルスの影響で中止となってしまった。
最終学年となった2020-21シーズンでは全26試合に出場し、うち24試合に先発出場し1試合平均29.5分、9.7得点、3.2リバウンド、1.0アシスト、1.0スティール、3P成功率31.5%を記録。チームはレギュラーシーズン16勝10敗、SECで8勝8敗と全体7位でシーズンを終え、SECトーナメントでは、第2ラウンドでジョージアを破り準々決勝へ進むもアーカンソー大に敗れた。そして2017-18シーズン以来のNCAAトーナメントにワイルドカードで進出を果たしたが、1回戦でオクラホマに72-68で敗れた。大学最終学年を終えたスミスは、大学院転校生としてカンザス州立大学に転校を決意し、もう1シーズン大学でのプレイすることとなった。
カンザス州立大学の一員として迎えた2021-22シーズンは、チームで唯一全31試合に先発出場し、1試合平均31.7分、12.7得点、8.4リバウンド、1.7アシスト、1.1スティール、FG成功率44.9%、3P成功率36.2%、フリースロー成功率は70.9%を記録。オールビッグ12サードチームとオールニューカマーチームに選出され、大学でのプレイを終えた。
NBAを目指しつつヨーロッパでプロキャリアをスタート
大学卒業後、2022年NBAドラフトにエントリーするもどのチームからもピックされず、ドイツのブンデスリーガに所属するBGゲッティンゲンでプロキャリアをスタートさせる。
ルーキーシーズンとなった2022-23シーズンでは、ポイントガード兼シューティングガードとしてプレイし、リーグ戦31試合に出場。1試合平均31.5分の出場、16.7得点、7.1リバウンド、2.8アシスト、1.1スティールと、持ち前の得点力とリバウンド力で攻守両面で貢献。
開幕戦では、28得点、8リバウンド、7アシストとトリプルダブルに近いスタッツを残し勝利に貢献。特に重要な場面で高いパフォーマンスを発揮するクラッチ力も魅力で、対MHPリースン・ルートヴィヒスブルク戦では、試合終盤に13得点をあげ、最終的に25得点を記録。終盤の決定力とフリースロー成功率が勝利を導く鍵となった。
プレイオフでは3試合に出場し、1試合平均29.0分、14.3得点、4.0リバウンド、2.0アシスト、1.7スティールを記録するも強豪バイエルンミュンヘンに3連敗を喫した。ヨーロッパカップ、ドイツカップでもスタメン出場し、FIBAヨーロッパカップ2戦目では、1点差で負けたものの20得点、10リバウンド、5アシストとダブルダブルを記録し、チームトップの数字を残してインパクトを残した。
翌2023-24シーズンでは、スペインのリーガACBに所属するバスケット・サラゴサへ移籍。2015年ドラフト3位指名で76ers、ペリカンズなどで活躍したジャリル・オカフォーとチームメイトとなった。
リーグ戦24試合に出場し、1試合平均26.3分、12.5得点、3.8リバウンド、2.0アシスト、1.1スティールを記録。スタッツは落ちているものの、多才なスコアラーとして評価され、チームオフェンスの中心選手の一人として活躍していた。試合の流れを変える瞬発力もあり、スーネ・ビルバオ・バスケット戦では、後半だけで18得点を記録し、この試合では23得点、7リバウンド、7アシストとトリプルダブルに近い数字を残しチームを逆転勝利へ導いた。また、フリースローでも14本すべて成功させるなど、安定した得点力が光った。
FIBAヨーロッパカップでは6試合に出場し、1試合平均22.3分、12.8得点、5.5リバウンド、2.2アシスト、1.3スティールとレギュラーシーズンよりも数字を伸ばしている。
長崎ヴェルカのオフェンスの起点として活躍
B1昇格後2シーズン目を迎える長崎ヴェルカは、昨シーズン日本代表で活躍した馬場雄大、設立初年度のB3時代からチームを牽引し続けたエースフォワードのマット・ボンズ、オーストラリアリーグで活躍したジャレル・ブラントリーを要したものの、怪我人などの影響から開幕4連勝するなど好スタートを切ったものの、27勝33敗と西地区6位、全体で17位とほろ苦いB1デビューシーズンとなった。
2年目となるシーズンは、コーチ陣を一新しモーディ・マオールHC新体制となった。茨城ロボッツから山口颯斗、滋賀レイクスからW杯日本代表であった川真田紘也、富山グラウジーズからエージェー・エドゥを獲得するなど、チームを一新。その中で2024年7月5日にマーク・スミスの加入が発表された。
2024-25シーズンでスミスは、開幕戦で15得点、7リバウンド、3アシストを記録するも終盤にアクシデントで退場、その後の発表で脳震盪と診断され3試合欠場することとなった。3試合ぶりに復帰した10月19日の群馬クレインサンダーズ戦では、3Pシュート6本を含む1試合43得点と大爆発し驚異的なスコアリング能力を発揮し日本のファンを驚かせた。
スミスはチームのオフェンスとディフェンス両面で大きな役割を果たしチームの中心選手としてプレイ。得点もさることながらリバウンドやアシストも含め、多才な能力を発揮、シーズンを通じて平均6.3リバウンド、1.2スティールを記録し、守備面でも存在感があり、要注意人物として対戦相手からマークされている。
自身のプレイスタイルについて「得点だけでなく、リバウンドやチームメートを活かすパスも重視している」とコメントしており、チーム全体を支える役割も担っている。
第8節を終わって6勝8敗で西地区6位と終盤の連敗で負け越しているものの、ドイツやスペインでの経験を活かしたキャプテンシーで長崎ヴェルカ浮上のきっかけを作ってくれると期待したい。
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