2024年2月16日に茨城ロボッツがルーク・メイと契約を交わしたとが発表された。
アメリカ出身の27歳で203cm、109kgのフォワード。名門ノースカロライナ大学出身で卒業後はNBA下部組織Gリーグ、イタリア、スペイン、プエルトリコ、トルコなどヨーロッパを中心にプレイしていた。茨城はブライアン・コンクリンを獲得したものの、1試合のみの出場でインジュアリーリストへ登録し、代わりに獲得したのがルーク・メイである。現在降格争いをするチームの救世主となるか、今回は新加入したルーク・メイがどんな経歴なのかを紹介したい。
ルーク・メイ
Luke Maye
🎊HAPPY BIRTHDAY LUKE🎊
— 茨城ロボッツ (@ibarakirobots) March 6, 2024
本日3/7は #32 #ルーク・メイ 選手(@luke_maye)の誕生日!!
ペイントでのタフネスと勝負どころでのクラッチプレーをこれからもお楽しみに🔥
ルークへのお祝いメッセージはリプライでお待ちしております!!#happybirthday #HBD#茨城ロボッツ #ウィルオブ @willofofficial pic.twitter.com/vbrmuLnRpO
■プロフィール
出身 :アメリカ
生年月日 :1997年3月7日(27歳)
身長 :203cm
体重 :109kg
出身校 :ノースカロライナ大学
ポジション:スモールフォワード、パワーフォワード
■経歴
2019-20 ウィスコンシン・ハード (NBA Gリーグ)
2020-21 クイラ バスケット トレント (イタリア)
2021-22 バスケット・マンレサSAD (スペイン)
2022-23 ピラタス デ ケブラディージャス (プエルトリコ)
2016 ファンダシオン CB グラナダ (スペイン)
2023-24 トファシュSK (トルコ)
2024- 茨城ロボッツ
■受賞歴
2016-17 NCAAチャンピオン
2017-18 オールアメリカンサードチーム
2018-19 シニアクラスアワード
2017-18 オールACCファーストチーム
2018-19 オールACCセカンドチーム
2017-18 ACC MIP
名門ノースカロライナ大学でブレイクしたビッグマン
1997年3月7日にノースカロライナ州ケアリーで生まれ、地元のウィリアム・A・ハフ高校でバスケットボールをプレイし、AP通信の州代表チームに2度選出され、キャリア通算1,923得点、1,369リバウンドを獲得。さらにバスケットボールだけではなく高校4年間で野球もプレイしており一塁手と外野手として活躍していた。
高校を卒業すると地元でマイケル・ジョーダンなどのNBA選手を輩出する名門ノースカロライナ大学への入学を決意するも、ルーキーイヤーとなった2015-16シーズンはベンチから33試合に出場するも、1試合平均5.4分、1.2得点、1.7リバウンドと数字は残せなかったものの、記録した54リバウンドのうち24本がオフェンスリバウンドとインサイドでしっかり仕事を果たしていた。
2年目の2016-17シーズンでは、 35試合に出場し1試合平均14.2分、5.5得点、3.9リバウンドを記録。レギュラーシーズン中に10得点以上を上げた試合は3回しかなかったが、NCAA トーナメント中に3回10得点以上を記録。中でもケンタッキー大学とのエリートエイトの試合では、現在サクラメント・キングスで活躍するマリーク・モンクが残り7.2秒で73点の同点となる3Pショットを決め万事休すの場面で、残り0.3秒でメイが決勝のジャンプショットを決め勝利を決定づけ、この試合では当時のキャリアハイとなる17得点も記録し一躍ヒーローとなった。この活躍でオールトーナメントチームに選出され、地域の最優秀選手賞を受賞した。その後、ディロン・ブルックス率いるオレゴン大と八村塁が1年生としてプレイしたゴンザガ大を破り、NCAAチャンピオンとなった。
3年目となる2017-18シーズンにメイはブレイクする。37試合すべてに先発出場すると、最初の9試合で1試合平均20.8得点、10.3リバウンドを記録。最終的に1試合平均16.9得点、チームトップの10.1リバウンドを記録し、過去40年間で平均ダブルダブルを達成した6人目の選手となった。シュート成功率もFG成功率48.6%、3P成功率43.1%(116本中50本)と多彩なオフェンス能力を披露した。
メイは、AP通信、スポーティングニュース、USAトゥデイ、NBCスポーツによるオールアメリカのサードチーム、オールACCファーストチーム、リーグで最も成長したMIP選手、ジョン R. ウッデン年間最優秀選手賞の最終候補15人に選出、優秀なパワーフォワードに送られるカール・マローン賞の最終候補5人に選出、そしてACC最優秀選手賞を受賞するなどNCAAでも注目の選手となった。シーズン終了後の2018年4月23日にエージェントを雇わずにNBAドラフトへの参加を宣言したものの、5月24日に大学で再びプレイすることを選択した。
大学最終年の2018–19シーズンでは、ブルックリン・ネッツで活躍するキャメロン・ジョンソン、シカゴ・ブルズの司令塔であるコビー・ホワイトを中心にACCでトップの成績を収めるもカンファレンストーナメントでザイオン・ウィリアムソン、RJ・バレット、キャム・レディッシュ率いるデューク大学に敗れ、NCAAトーナメントでもSweet16でオーバーン大学に敗れた。最終的には昨シーズンよりも数字を落としたものの、14.9得点、10.5リバウンド、2.3アシストを記録しチームを牽引し続けた。
大学卒業後はNBAドラフトで指名されることはなく、2019年6月21日にミルウォーキー・バックスの一員としてサマーリーグでプレイ。3試合の出場で13.6分、3.0得点、4.0リバウンドとインパクトは残せず、2019年10月14日にウェイブされた後に、バックスのGリーグ傘下であるウィスコンシン・ハードでプレイすることとなった。2019年12月16日から2020年1月14日まで負傷のため戦列を離れものの、復帰後はコンスタントにプレイタイムを獲得し、3月7日の試合で25得点、9リバウンド、2アシスト、1ブロック、1スティールを記録しアピール。34試合中14試合に先発出場し平均23.1分、10.6得点、7.4リバウンド、1.7アシスト、3P成功率34.9%を記録するもNBAでのプレイする機会は与えられなかった。
2020年7月18日にイタリアへ渡りセリエAのドロミティ・エネルギア・トレントと契約、チームメイトには 岩手ビッグブルズでプレイしているケルビン・マーティンが在籍していた。27試合中25試合に先発出場し1試合平均25.1分、11.6得点、6リバウンド、1.3アシスト、3P成功率37.0%(135/50)を記録しチームの主軸として活躍し、13勝15敗でリーグ8位でプレイオフ進出に貢献。プレイオフ1回戦ではスペイン代表でもプレイしたセルヒオ・ロドリゲス率いるシーズン1位のAX アルマーニ エクスチェンジ ミラノと対戦し、圧倒的な強さに3連敗を喫しスイープでプレイオフ敗退した。
2021年7月23日にイタリアからスペインへ移り、リーガACBのバクシ・マンレサと2年契約を結んだ。リーグ戦では35試合中6試合のみの先発出場でバックアップとしてローテーションされ、平均16.5分、8.2得点、3.4リバウンド、0.5アシスト、FG成功率39.4%と苦戦を強いられた。チームは20勝14敗でリーグ7位でプレイオフへ進出し、1回戦ではスペイン代表のルディ・フェルナンデス、ワールドカップで日本代表と対戦したカーボベルデ代表のウォルター・タバレスなどを要する強豪のレアルマドリードと対戦し、2連敗を喫してシーズンを終えた。
翌2022-23シーズンはリーガACBに昇格したファンダシオンCBグラナダと契約。現在B2のベルテックス静岡でプレイするトーマス・ブロープレーとチームメイトとなる。チームは昇格組ということもあり11勝23敗と降格ギリギリのリーグ16位でシーズンを終えた。メイは24試合中22試合に先発出場し平均23.8分、10.7得点、6.3リバウンド、1.2アシストと昨シーズンよりも数字を伸ばしチームを牽引した。
2023年7月12日、バスケットボール・スーパー・リジ(BSL)のトファシュと契約。バスケットボール・チャンピオンズ・リーグでは10試合に出場し1試合平均7.1得点、4.6リバウンド、0.9アシスト、0.7スティール、0.5ブロック、FG成功率40.9%を記録。レギュラーシーズンでは5試合に出場し、1試合あたり11.6得点、5.6リバウンド、1.0アシスト、0.4スティール、0.4ブロックを記録したものの、外国籍選手のチーム制限により国内での活動は制限され1月31日にチームとの契約を解除しフリーエージェントとなった。
降格争いで苦戦を強いられる茨城ロボッツへ
シーズン途中の2024年2月16日に茨城ロボッツに入団が発表。この時の茨城は開幕から外国籍選手が定まらずなかなかロスターを固めることが出来ずにいた。開幕前に獲得したヘンリー・エレンソンがメディカルチェックで助骨骨折が発覚し1試合もプレイすることなく一時帰国後に契約解除、エリック・ジェイコブセンも2023年9月11日に骨折でインジュアリーリスト入りし全治未定のままプレイできず。その中でアンガス・ブラント、マックス・ヒサタケ、ジョニー・オブライアントなどと契約しなんとかロスターを整えようとしたものの、2024年1月9日に契約したブライアン・コンクリンが1試合のみでインジュアリーリストに登録され、白羽の矢が立ったのがルーク・メイであった。
メイは3月2日に降格争いをする富山グラウジーズとの直接対決で途中出場でデビューすると、16得点、10リバウンドのダブルダブルを記録しチームの勝利に貢献。続く第2戦では32分の出場でチームトップの29得点、14リバウンドと2試合連続ダブルダブルを記録。試合もオーバータイムに縺れる激戦を制し今季初の連勝で7勝目を決めた。
3月6日、ホームでのデビュー戦となったアルバルク東京との1戦でも、強豪を相手に食らいつきオーバータイムとなる激戦となり96-99で惜しくも敗戦したものの、降格争いを抜ける兆しが見えた。メイはこの試合もチームトップの26得点、7リバウンドを記録し早くもチームの中心選手として牽引している。
ペイントエリアでの得点はもちろんのこと、3Pシュートを含む中長距離のシュートに優れている。インサイドでは当たり負けせず体を張ったリバウンド、さらには自らハンドリングをしボールプッシュするなど多彩なプレイを持つメイは、茨城ロボッツの追い風になること間違いなしである。ターンオーバーとファールがかさむことが気がかりではあるものの、ここまで苦しい状況だっただけに彼の加入でより一層茨城のバスケットに注目をしたい。
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