各チーム、Bリーグ10年間のロスター変化とシーズンサマリーまとめ
2026-27シーズンからの「Bプレミア」移行を前に、Bリーグ最初の10年間の歴史を各クラブごとに振り返る本企画。
今回取り上げるのは、西地区の絶対王者「琉球ゴールデンキングス」の前編(2016-17〜2020-21シーズン)だ。
bjリーグで最多となる4度の優勝を誇り、名実ともに「沖縄のシンボル」としてBリーグに参入した琉球。しかし、初年度は予想外の苦戦を強いられ、チームの象徴だったレジェンドの退団という痛みを伴う再建を余儀なくされた。そこから彼らはいかにしてB1トップクラスの陣容を揃え、アジアの舞台(EASLの前身)でタイトルを獲得し、そして夢の舞台「沖縄アリーナ」へと辿り着いたのか。西地区を支配し続けた前半5年間のロスターと戦績の歩みを紐解いていこう。
2016-17シーズン
成績:29勝31敗(勝率.483)/西地区2位(リーグ全体8位相当) ※CSクォーターファイナル敗退
ヘッドコーチ:伊佐 勉
ロスター詳細
| No | 選手名 | 身長/体重 | 前所属先 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 5 | アンソニー・マクヘンリー | 202cm/101kg | 琉球ゴールデンキングス(継続) | - |
| 6 | 金城 茂之 | 183cm/80kg | 琉球ゴールデンキングス(継続) | - |
| 7 | レイショーン・テリー | 198cm/107kg | ルマン・サルト・バスケット(仏) | シーズン途中加入 |
| 8 | 大宮 宏正 | 197cm/99kg | 琉球ゴールデンキングス(継続) | - |
| 9 | 新城 真司 | 184cm/82kg | 琉球ゴールデンキングス(継続) | - |
| 10 | 波多野 和也 | 192cm/98kg | 島根スサノオマジック | bj時代の古巣へ復帰 |
| 11 | 渡辺 竜之佑 | 189cm/90kg | 専修大学 | 新加入 |
| 13 | 津山 尚大 | 180cm/85kg | 琉球ゴールデンキングス(継続) | - |
| 14 | 岸本 隆一 | 176cm/75kg | 琉球ゴールデンキングス(継続) | キャプテン |
| 22 | モー・チャーロ | 201cm/100kg | トロント・905(カナダ) | 新加入 / 11月退団 |
| 24 | 田代 直希 | 188cm/85kg | 専修大学 | 新加入 |
| 31 | 喜多川 修平 | 185cm/85kg | 琉球ゴールデンキングス(継続) | - |
| 32 | 山内 盛久 | 175cm/75kg | 琉球ゴールデンキングス(継続) | - |
| 34 | ラモント・ハミルトン | 208cm/116kg | クラスニエ・クリリヤ(露) | 新加入 |
■シーズンサマリー
bjリーグで4度のリーグ制覇を成し遂げた王者として、満を持してBリーグの舞台に降り立った初年度。アルバルク東京との歴史的な「Bリーグ開幕戦」を戦ったが、シーズンを通してB1特有のフィジカルと高さの壁に苦しむこととなった。
外国籍選手の負傷や不振もあり、開幕から波に乗り切れず、11月にはモー・チャーロに代わってレイショーン・テリーを補強するなど勝率5割前後を行き来する苦しい展開が続いた。しかし、岸本隆一の奮闘や喜多川修平の高確率なシュート、そしてベテランのマクヘンリーが意地を見せ、なんとか29勝31敗で西地区2位に滑り込みCS進出を果たす。しかしCSクォーターファイナルでは、シーホース三河の圧倒的なインサイド陣の前に0勝2敗で敗退。シーズン終了後、bj時代から長きにわたり琉球の黄金期を支えたアンソニー・マクヘンリー、伊佐勉HCがチームを去り、クラブは劇的な血の入れ替えを行うこととなる。
2017-18シーズン
成績:42勝18敗(勝率.700)/西地区1位(リーグ全体3位) ※CSセミファイナル敗退・天皇杯ベスト8
ヘッドコーチ:佐々 宜央
ロスター詳細
| No | 選手名 | 身長/体重 | 前所属先 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 0 | 石崎 巧 | 188cm/85kg | MHPルートヴィヒスブルク(独) | 新加入 |
| 6 | 金城 茂之 | 183cm/80kg | 琉球ゴールデンキングス(継続) | - |
| 7 | 渡辺 竜之佑 | 189cm/90kg | 琉球ゴールデンキングス(継続) | - |
| 8 | 二ノ宮 康平 | 173cm/70kg | アルバルク東京 | 新加入 |
| 11 | 須田 侑太郎 | 190cm/87kg | 栃木ブレックス | 新加入 |
| 12 | ヒルトン・アームストロング | 211cm/107kg | 千葉ジェッツ | 新加入 |
| 13 | 津山 尚大 | 180cm/85kg | 琉球ゴールデンキングス(継続) | - |
| 14 | 岸本 隆一 | 176cm/75kg | 琉球ゴールデンキングス(継続) | キャプテン |
| 21 | 平岩 玄 | 200cm/105kg | 東海大学 | 特別指定選手として加入 |
| 24 | 田代 直希 | 188cm/85kg | 琉球ゴールデンキングス(継続) | - |
| 33 | アイラ・ブラウン | 193cm/105kg | サンロッカーズ渋谷 | 新加入(帰化枠) |
| 42 | ハッサン・マーティン | 201cm/109kg | ロードアイランド大学 | 新加入 |
| 51 | 古川 孝敏 | 190cm/90kg | 栃木ブレックス | 新加入 |
■シーズンサマリー
日本代表のアシスタントコーチ経験を持つ33歳の青年監督・佐々宜央が新HCに就任。昨季の不調を払拭すべく、栃木から初代王者の立役者である古川孝敏と若き3&Dの須田侑太郎、SR渋谷から日本代表のアイラ・ブラウン、ドイツ帰りの石崎巧らを獲得する歴史的な大型補強を敢行した。
佐々HCの戦術がチームに浸透し、アグレッシブなディフェンスと爆発力のあるオフェンスが融合。今シーズンから初参戦となった天皇杯(第93回)では準々決勝で川崎ブレイブサンダースに敗れベスト8となったが、Bリーグでは昨季の苦戦が嘘のように白星を量産し、42勝18敗(勝率.700)の好成績で念願の西地区初優勝を飾った。CSではクォーターファイナルで名古屋Dを下しベスト4へ進出するも、セミファイナルで千葉ジェッツに連敗。頂点には届かなかったが、「西の絶対王者」としての土台が完全に構築されたシーズンとなった。
2018-19シーズン
成績:40勝20敗(勝率.667)/西地区1位 ※CSセミファイナル敗退・The Terrific 12優勝・天皇杯ベスト16
ヘッドコーチ:佐々 宜央
ロスター詳細
| No | 選手名 | 身長/体重 | 前所属先 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 00 | 橋本 竜馬 | 178cm/81kg | シーホース三河 | 新加入 |
| 0 | 石崎 巧 | 188cm/85kg | 琉球ゴールデンキングス(継続) | - |
| 3 | 並里 成 | 172cm/72kg | 滋賀レイクスターズ | 古巣復帰 |
| 5 | ケビン・ジョーンズ | 203cm/114kg | サスキ・バスコニア(西) | シーズン途中加入 |
| 6 | 金城 茂之 | 183cm/80kg | 琉球ゴールデンキングス(継続) | - |
| 11 | 須田 侑太郎 | 190cm/87kg | 琉球ゴールデンキングス(継続) | - |
| 12 | ジェフ・エアーズ | 206cm/109kg | エスキシェヒル・バスケット(土) | 新加入 |
| 14 | 岸本 隆一 | 176cm/75kg | 琉球ゴールデンキングス(継続) | キャプテン |
| 21 | 寒竹 隼人 | 194cm/89kg | 大阪エヴェッサ | 新加入 |
| 24 | 田代 直希 | 188cm/85kg | 琉球ゴールデンキングス(継続) | - |
| 33 | アイラ・ブラウン | 193cm/105kg | 琉球ゴールデンキングス(継続) | - |
| 40 | ジョシュ・スコット | 208cm/111kg | 島根スサノオマジック | 新加入 |
| 51 | 古川 孝敏 | 190cm/90kg | 琉球ゴールデンキングス(継続) | - |
■シーズンサマリー
悲願のリーグ制覇へ向け、ポイントガード陣をさらに強化。三河の闘将・橋本竜馬、そして「ファンタジスタ」並里成が古巣へ帰還し、岸本、石崎と合わせてリーグ屈指の強力なバックコートが完成した。インサイドにもNBA経験を持つジェフ・エアーズや、のちにチームの大黒柱となるジョシュ・スコットを迎え入れた。
開幕前の9月に行われたEASL(東アジアスーパーリーグ)の前身となるプレシーズン国際大会「The Terrific 12(マカオ)」に日本代表として出場。決勝で中国の広州ロングライオンズを撃破し、見事にアジアの頂点に立った。この大会では岸本隆一がMVPを獲得する大活躍を見せた。
第94回天皇杯では大阪エヴェッサに敗れベスト16敗退となったが、Bリーグ本戦では安定した強さを発揮。ケビン・ジョーンズの途中補強などもありながら、40勝20敗で西地区2連覇を達成した。しかし、CSでは強豪ひしめくトーナメントの激闘の末、またしてもセミファイナルでアルバルク東京に敗れ、ファイナルの舞台には届かなかった。
2019-20シーズン
成績:27勝14敗(勝率.659)/西地区1位 ※コロナ禍によりシーズン途中打ち切り・天皇杯ベスト16
ヘッドコーチ:佐々 宜央 → 藤田 弘輝(途中交代)
ロスター詳細
| No | 選手名 | 身長/体重 | 前所属先 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 0 | 石崎 巧 | 188cm/85kg | 琉球ゴールデンキングス(継続) | - |
| 1 | 福田 真生 | 193cm/93kg | 熊本ヴォルターズ | 新加入 |
| 3 | 並里 成 | 172cm/72kg | 琉球ゴールデンキングス(継続) | - |
| 4 | デモン・ブルックス | 202cm/103kg | メディ・バイロイト(独) | 新加入 |
| 7 | 長谷川 智伸 | 184cm/82kg | 三遠ネオフェニックス | 新加入 |
| 9 | ナナーダニエル弾 | 197cm/100kg | 青山学院大学 | 特別指定選手として加入 |
| 14 | 岸本 隆一 | 176cm/75kg | 琉球ゴールデンキングス(継続) | - |
| 22 | ユージーン・フェルプス | 198cm/111kg | ソウル三星サンダース(韓) | シーズン途中加入 |
| 24 | 田代 直希 | 188cm/85kg | 琉球ゴールデンキングス(継続) | キャプテン |
| 32 | 満原 優樹 | 198cm/110kg | サンロッカーズ渋谷 | 新加入 |
| 34 | 小野寺 祥太 | 183cm/84kg | 秋田ノーザンハピネッツ | 新加入 |
| 40 | ジョシュ・スコット | 208cm/111kg | 琉球ゴールデンキングス(継続) | 負傷によりシーズン途中退団 |
| 45 | ジャック・クーリー | 206cm/112kg | ディナモ・サッサリ(伊) | 新加入 |
| 88 | 牧 隼利 | 188cm/88kg | 筑波大学 | 特別指定選手として加入 |
■シーズンサマリー
橋本、須田、古川らが退団し、満原優樹や小野寺祥太らを新たに迎え入れたシーズン。外国籍選手には、のちに圧倒的なリバウンダーとしてチームの柱となるジャック・クーリーと、得点力に優れるデモン・ブルックスを獲得した。前年に続きThe Terrific 12(マカオ)に出場したが、惜しくもグループリーグ敗退となった。
シーズンが始まると、開幕直後にジョシュ・スコットが負傷退団するなど苦しい立ち上がりとなった。そして12月、これまでチームを牽引してきた佐々宜央HCが心身の疲労により無念の途中退任。アシスタントコーチだった藤田弘輝がHC代行(のちに正式に昇格)として急遽指揮を執ることとなった。
指揮官の交代という最大の危機に見舞われたものの、田代直希新キャプテンを中心にチームは結束。フェルプスの緊急補強や若手の台頭もあって崩れることなく勝ち星を重ね、新型コロナウイルスの影響でシーズンが途中打ち切りとなるまで27勝14敗の成績を残した(第95回天皇杯はベスト16)。苦難の連続を乗り越え、西地区1位の座を死守した精神的にタフなシーズンであった。
2020-21シーズン
成績:40勝16敗(勝率.714)/西地区1位(リーグ全体2位) ※CSセミファイナル敗退・天皇杯ベスト8
ヘッドコーチ:藤田 弘輝
ロスター詳細
| No | 選手名 | 身長/体重 | 前所属先 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 0 | 石崎 巧 | 188cm/85kg | 琉球ゴールデンキングス(継続) | - |
| 3 | 並里 成 | 172cm/72kg | 琉球ゴールデンキングス(継続) | - |
| 9 | ナナーダニエル弾 | 197cm/100kg | 琉球ゴールデンキングス(継続) | プロ契約移行 |
| 13 | ドウェイン・エバンス | 201cm/104kg | ディナモ・サッサリ(伊) | 新加入 |
| 14 | 岸本 隆一 | 176cm/75kg | 琉球ゴールデンキングス(継続) | - |
| 21 | ジェイソン・ウォッシュバーン | 213cm/111kg | ナイアガラ・リバー・ライオンズ(加) | シーズン途中加入 |
| 24 | 田代 直希 | 188cm/85kg | 琉球ゴールデンキングス(継続) | キャプテン |
| 30 | 今村 佳太 | 191cm/92kg | 新潟アルビレックスBB | 新加入 |
| 31 | ハーパー・ジャン・ローレンス・ジュニア | 180cm/80kg | 福岡第一高校 | 特別指定選手として加入 |
| 32 | 満原 優樹 | 198cm/110kg | 琉球ゴールデンキングス(継続) | - |
| 34 | 小野寺 祥太 | 183cm/84kg | 琉球ゴールデンキングス(継続) | - |
| 41 | キム・ティリ | 210cm/101kg | ブドゥチノスト(モンテネグロ) | 新加入 / 2021年2月に退団 |
| 45 | ジャック・クーリー | 206cm/112kg | 琉球ゴールデンキングス(継続) | - |
| 88 | 牧 隼利 | 188cm/88kg | 琉球ゴールデンキングス(継続) | プロ契約移行 |
■シーズンサマリー
藤田HC体制の2年目。さらなる高みを目指すべく、新潟から日本代表候補の若きエース今村佳太を獲得。さらに、ユーロリーグでの実績を持つ万能フォワードのドウェイン・エバンス、フランス代表経験のあるキム・ティリ(シーズン途中に退団、代わってウォッシュバーンが加入)が加わり、クーリーと合わせてリーグ屈指のロスターが完成した。
第96回天皇杯ではシーホース三河に敗れベスト8となったが、シーズン終盤には長年の悲願であった「沖縄アリーナ」がついにプレオープン。新アリーナの熱狂的なブーストを受けながら、チームは安定した強さを誇り、40勝16敗というリーグ全体2位の圧倒的な成績で西地区4連覇(実質)を達成した。
チャンピオンシップでは、沖縄アリーナで開催されたクォーターファイナルで富山グラウジーズを下したが、セミファイナルで千葉ジェッツに激闘の末に敗退。またしても「ベスト4の壁」に阻まれる結果となったが、圧倒的なインサイドの支配力と堅守を誇る「琉球のスタイル」が完全に確立し、新時代の幕開けを予感させる充実のシーズンであった。
■ 2016-17〜2020-21シーズン 琉球ゴールデンキングス 前半5年間の総括
bjリーグからBリーグへの移行という未曾有の変革期において、琉球ゴールデンキングスの前半5年間は「プライドの解体と新構築」の連続であった。
bjリーグ最多優勝という輝かしい看板を背負って臨んだB1初年度。しかし、彼らを待っていたのはフィジカルと高さという絶対的な壁であり、クラブを支え続けたアンソニー・マクヘンリーとの別れであった。過去の栄光に固執せず、佐々宜央HCのもとで「ディフェンスとリバウンド」という堅実なスタイルへの転換を図り、古川孝敏やアイラ・ブラウンら国内トップクラスの選手を次々と獲得。そしてマカオで開催された「The Terrific 12」でのアジア制覇は、Bリーグクラブとしての確かな自信と進化を証明する出来事だった。
その後も、佐々HCの途中退任というアクシデントを乗り越え、ジャック・クーリーやドウェイン・エバンス、今村佳太ら新たなコアメンバーを迎え入れて確固たる強豪へと成長。西地区では常に首位を走り続け、「西の絶対王者」としての地位を不動のものにした。
しかし、チャンピオンシップでは千葉ジェッツやアルバルク東京といった東地区の強豪の前に、幾度となく「セミファイナルの壁」に跳ね返されてきた。圧倒的な成績を残しながらも、最後の一歩が届かない悔しさ。それでも彼らは決して折れることなく、アジア最高峰の夢のアリーナ「沖縄アリーナ」という最強の武器を手に入れた。後半5年間で彼らがどのようにして悲願のBリーグ初制覇へと向かっていくのか、その盤石な礎が築き上げられた5年間であった。
コメント