富山グラウジーズを牽引するフィリピン出身ガード

2021年9月10日に、富山グラウジーズがドワイト・ラモスと契約を交わしたと発表された。
フィリピン出身でアジア特別枠での契約となった彼はアメリカの大学とフィリピンの大学でプレイした現在23歳の若手有望株。端正な顔立ちで甘いマスクで女性ファンから人気のある彼について紹介したい。



ドワイト・ラモス
Dwight Ramos


■プロフィール
出身    :フィリピン
生年月日  :1998年9月2日(23歳)
身長    :193 cm
体重    :95  kg
出身校   :アテネオ・デ・マニラ大学
ポジション :シューティングガード/ポイントガード

■経歴
2016-18:カリフォルニア州立フラートン
2018-19:カルポリポモナ
2019  :アテネオ・デ・マニラ大学
2021  :富山グラウジーズ



アメリカ育ちの逆輸入プレイヤー

1998年9月2日、アメリカのカリフォルニア州ウェストコビーナで長男として誕生。弟のイーライも現在バスケットをプレイしている。
ウォルナット高校へ進学し3年生時には年間で5度40得点以上を記録するなど1試合平均28.0得点、9.1リバウンド、2.9アシスト、2.5スティール、1.6ブロックを記録しエースとしてチームを牽引。シーズンで24勝6敗の戦績の原動力となりオールCIF・サザンセクション・ボーイズバスケットボール・ディビジョン1Aセカンドチームに選出。CIF Southern Section 2016 Boys Basketball Championshipsではマスタングスの準々決勝進出を果たした。オール・ハシエンダ・リーグというリーグ戦にも2度選出し、2014-15シーズンのリーグ戦では1試合平均18.0得点、5.4リバウンド、1.1アシスト、1.8スティールを記録し優勝にも貢献している。
高校卒業後フィリピンのアテネオデマニラ大学の監督からスカウトを受けるも、アメリカの大学でのプレイを望んだドワイトはその誘いを断り、カリフォルニア州立フラートン大学へ進学を決めた。

■ウォルナット高校時代のハイライトプレイ



大学時代、2度の編入を経てフィリピンへ

カリフォルニア州立フラートン大学では、ルーキーイヤーの2016-17シーズンで25試合中4試合にスタメン出場し1試合平均8.1分出場、3.2得点、0.7リバウンド、0.2アシスト、0.2スティール、0.3ブロックを記録。12月18日に行われたネブラスカ・オマハ戦でキャリアハイの41分出場し13得点、3リバウンドを記録するなどポテンシャルの高さを垣間見せていた。
2年生となった2017-18シーズンは、18試合に出場するもプレイタイムは平均6.7分とルーキーイヤーよりも減ってしまい成績も落としていた。しかしビッグウェスト・トーナメント準決勝のUCデイビス戦で14分間で6得点、3リバウンド、1アシスト、1スティールと大活躍しチームを勝利に導くことに貢献した。
そして彼の転機となったのが2018-19シーズン。フラートン大学を離れ同じカリフォルニア州でNCAAディビジョン2のカリフォルニア州立工科大学ポモナ校へ編入しプレイすることを決意。28試合に出場し平均18.2分、6.6得点、3.4リバウンド、0.8アシスト、0.4スティール、0.3ブロックとフラートン大学時代からほぼ2倍のスタッツを記録した。
翌年の2019年では母国であるフィリピンに移って、現在は三遠ネオフェニックスで活躍するサーディ・ラベナの母校であり、高校卒業時にスカウトされていたアテネオ・デ・マニラ大学へ留学。UAAPシーズン3連覇中のチームの中心となると期待されたが、コロナウイルスの影響で2019-20シーズンが中止となりプレイすることは叶わなかった。

■Dwight Ramos #23 SG SF Class 2016



国際大会をきっかけにプロへの転身

2020年NBAドラフトにエントリーするもどのチームからも指名はされず、コロナ禍によってシーズンが中断されたことでプレイする場所がなくなっていたが、アテネオ・デ・マニラ大と代表ヘッドコーチを兼任するタブ・ボールドウィンHCが彼の才能を見抜き、若手中心であった代表チームに招集しプレイ機会を与えた。ラモスは、2020年にFIBAアジアカップ予選で初めてフィリピン代表として招集されサーディ・ラベナと共にグループステージを戦う事となった。
世界ランキング33位のフィリピンはインドネシア、タイとFIBAランキング30位の格上の韓国のいるグループAで戦うこととなった。2020年2月23日の初戦インドネシア戦では、16分出場で5得点、5リバウンド、2スティールを記録し、チームも100-70で代表デビューを勝利で飾った。続くタイとの第2戦では19分間出場ですべてのシュートを沈め20得点、7リバウンド、3アシスト、3スティールと驚異のパフォーマンスを披露し93-61で連勝。
第3戦も再びタイと対戦し13得点で勝利に貢献し、第4戦では格上の韓国と対戦。32分間出場でチームトップの16得点、5リバウンド、2スティール、1ブロックを記録。試合は残り2.9秒で同点と大接戦となり、フィリピンのサムジョセフ・ベランジェのブザービーター3Pシュートが決まり81-78で劇的な逆転勝利を収め4連勝を飾った。
第5戦となったインドネシア戦では10得点、12リバウンドの代表キャリアハウのダブルダブルを記録し勝利し、第6戦で再び韓国と対戦。前回同様に一進一退の展開となり、ラモスは23分間の出場で19得点、3リバウンド、5アシスト、2スティールを記録しチームを牽引しチームも82-77で勝利。6戦全勝とグループステージ1位で突破する快進撃の原動力となった。
アジアカップ予選では、1試合平均25分間の出場で13.8得点、6.2リバウンド、2.2アシスト、2.0スティールを記録し、FG成功率50%、3P成功率45.5%と高効率でシュートを沈め次世代のエースの片鱗をみせ、この大会を機にプロへ転向することを決めた。

■Dwight Ramos scored 19 points vs. Korea | Players Highlights



Bリーグのアジア特別枠で富山グラウジーズと契約

2021年9月10日に、富山グラウジーズがドワイト・ラモスと契約を交わしたと発表された。富山にとってはアジア特別枠で獲得する初めての選手となった。
富山グラウジーズは2020-21シーズンはジュリアン・マブンガ、宇都直輝を中心に快進撃を繰り広げるも、シーズン終盤にインサイドの格であったリチャード・ソロモンの退団という衝撃的なニュースもあったが、レギュラーシーズン39勝21敗と東地区4位と好成績を残し、ワイルドカードでプレイオフ進出。琉球ゴールデンキングスに善戦するも1勝2敗でクオーターファイナルで敗戦した。
2021-22シーズンこそはファイナル進出へ、補強の中にラモスも構想に入っていたが2年は代表活動以外での実績はなく、コロナウイルスの影響による入国後の隔離期間でチームの合流が遅れるなど、本来の実力が発揮できるのか不安要素はあった。そんな中迎えた2021年10月16日の名古屋ダイヤモンドドルフィンズ戦でBリーグデビューを果たし、途中出場ながら28分間プレイし6得点、7リバウンド、3アシストとシュートタッチに苦しむ中まずまずの成績を収め、翌日以降スターティング5に名を連ねることとなった。
チームは開幕から8試合勝利がなく暗雲立ち込める中、大阪エヴェッサ戦では積極的にゴールへアタックし続け、大阪のエースガードであるディージェイ・ニュービルとマッチアップで抑え込むことも成功し、この試合31分出場しBリーグでキャリアハイとなる20得点、6リバウンド、3アシストを記録しシーズン初勝利に大きく貢献。

■【キャリアハイの20得点】初勝利に大貢献!ドワイト・ラモス Full Highlight | Dwight Ramos



クリスマス前の第12節が終了した時点で富山は7勝14敗と昨シーズンのような勢いはないものの、ドワイト・ラモスがチームにフィットしてきたこともあり後半戦で巻き返しを図りたいところである。
ラモス自身も17試合で平均27.7分間出場し、11.5得点、5.1リバウンド、2.8アシスト、0.8スティール、0.5ブロックを記録しているが、3P成功率が28.0%と3Pシュートの確率を上ゲルことが課題となりそうである。ショット精度があがることでチームのオフェンスにも幅が広がり、相手チームからも厄介な選手となるに違いない。
まだまだ23歳と次世代のフィリピン代表エース候補の今後更なる成長を期待したい。