フィリピンバスケ界の“レブロン”が日本へ!?
フィリピン国籍を持つフランシス・ロペスが、Bリーグのファイティングイーグルス名古屋(以下、FE名古屋)と契約するとの情報をリーク。彼はフィリピンバスケットボール界で注目を集める21歳の若手有望株の一人である。
2025年4月とまだBリーグのレギュラーシーズンが終わっていないタイミングでの発表に日本のファンからは驚きの声が聞こえる。
そんな話題のフランシス・ロペスがどういった選手なのか、生い立ちから直近の情報までをまとめたい。
フランシス・ロペス
Francis Lopez
2025年4月28日にフィリピンのスポーツメディア「Sports Interactive Network」のXアカウントから1つの投稿がされた。
✊➡️🦅 This Fighting Maroon is now a Fighting Eagle.
— SPIN.ph (@spinph) April 28, 2025
Francis Lopez is headed to #JapanBLeague!https://t.co/tHpiFsHSLZ
フィリピン国籍を持つフランシス・ロペスが、Bリーグのファイティングイーグルス名古屋(以下、FE名古屋)と契約するとの情報をリーク。彼はフィリピンバスケットボール界で注目を集める21歳の若手有望株の一人である。
2025年4月とまだBリーグのレギュラーシーズンが終わっていないタイミングでの発表に日本のファンからは驚きの声が聞こえる。
そんな話題のフランシス・ロペスがどういった選手なのか、生い立ちから直近の情報までをまとめたい。
フランシス・ロペス
Francis Lopez
■プロフィール
出身 :アメリカ合衆国
生年月日 :2003年5月17日(21歳)
身長 :198 cm
体重 :77 kg
出身校 :フィリピン大学ディリマン校
ポジション :スモールフォワード
■経歴
2024-25:フィリピン大学ディリマン校
少年時代から注目された逸材
2003年5月17日にフィリピンに生まれ、幼少期からその恵まれた体格は際立っており、13歳から本格的にバスケットボールの道へ進む。オーガスティニアン・アビー・スクールで初めて本格的な指導を受けと彼の成長は目覚ましく、10歳時には約160cmだった身長が、13歳になる頃には約190cmに達していたことで、その長身の高さとバスケットボールをプレイしていたことから、家族や友人からは「レブロン」という愛称で親しまれるようになり、今でも愛称として呼ばれる由縁である。もちろん、憧れの選手は、NBAのスーパースター、レブロン・ジェームズ。
2018年の15歳の時に、メトロマニラのユーススポーツ大会であるNCR パラロに出場。チームは惜しくもメダル獲得とはならなかったものの、彼の才能は早くから注目を集めて、 若くして著しい成長を遂げたことで国内から一目置かれる存在となった。
高校時代は、オーガスティニアン・アビー・スクールを皮切りに、ラ・サール・グリーンヒルズ、そしてアテネオ・デ・マニラというフィリピン国内でも有数の名門校を渡り歩く。 ラ・サール・グリーンヒルズ時代は、平均3.4分、2.3得点、1.3リバウンドにとどまったが、アテネオ・デ・マニラに進学すると、UAAPジュニアリーグでその才能を開花させる。平均16.0得点、9.2リバウンド、3.0ブロックという目覚ましい成長を見せ、シーズン終了時には、リーグの優秀選手が選ばれるミシカル・チームに名を連ねた。2020年には、国内のトップ高校生選手リストであるNBTC 24にも選出され、SLAM フィリピン・ライジングスターズにも選ばれるなど、その将来を嘱望された。2年後には、SLAM ライジングスターズ・クラシックにも出場を果たしており、国内有数のプレイヤーの一人であった。
プロを目指すも様々な苦難を強いられフィリピン大学へ
そして2021年、アテネオを卒業することなく、プロの道へ進むことを決意し、アメリカのプロリーグオーバータイム・エリート(OTE)への参加を試みる。OTEは、16歳から20歳までの才能あるバスケットボール選手のためのプロリーグで、年間最低10万ドルの給与を受け取るプロ契約を結ぶか、大学の資格を維持するための奨学金を選ぶことができるエリート機関である。OTEからは10万ドルの契約オファーを受けたものの、ビザの問題によりプレーすることは叶わず。プロモーション素材での肖像利用料として2万5千ドル(約350万円)の契約を結ぶこととなった。
さらに、そこでプロへの道を諦めずオーストラリアNBLのイラワラ・ホークスへの移籍も試みたが、彼の持つフィリピンとアンゴラの血統のため、アジア枠での出場資格を得ることができず、高卒ルーキーでのプロへの道は断念せざるを得なかった。
その後、フィリピンのスター選手であるカール・タマヨの影響から同じフィリピン大学(UP ファイティング・マラーンズ)に進学を決意。2023年のUAAPシーズン86でデビューを飾り、アダムソン大学戦では5得点ながら13リバウンドを記録し、その非凡な才能を垣間見せるデビュー戦となった。続くNUブルドッグス戦では14得点、7リバウンド、4アシスト、2スティール、1ブロックとオールラウンドな活躍を見せ、USTグローリング・タイガース戦では11得点、4アシストをマーク。アテネオ戦では足首を負傷するアクシデントもあったものの、その後もチームに貢献。そして、シーズン86ではルーキー・オブ・ザ・イヤーを受賞することとなった。
2024年には、フィロイル・エコオイル・プレシーズンカップでチームを優勝に導き、自身もミシカル・ファイブに選出された。 勢いそのままにシーズン87では、36試合に出場し1試合平均10.8得点、5.9リバウンド、1.9アシスト、1.3ブロックを記録し、チームのファイナル進出に貢献。デラサール大学とのファイナル第3戦では、試合の流れを決定づける重要な3ポイントシュートを沈めるなど、チームを悲願の優勝へと導く立役者として活躍した。
フィリピン代表としての活躍
2019年に16歳でフィリピン代表のU-19チームに選ばれ、同年のFIBA U-16アジア選手権に出場。その後、2021年にFIBAアジアカップ予選、2022年にFIBAアジアカップ、2023年にはFIBAバスケットボールワールドカップ2023アジア予選に出場し、代表へコンスタントに選ばれるようになった。
2022年にベトナム・ハノイで開催された東南アジア競技大会では、フィリピン代表として出場し、銀メダルを獲得。カンボジア戦では、自身19歳の誕生日に17得点、5リバウンド、2ブロックの活躍を見せた。マレーシア戦では、7本中7本のシュートを成功させ、18得点を挙げている。FIBAアジアカップでは4試合に出場し、平均9.2分の出場で3.7得点、2.0リバウンドを記録した。
近年のフィリピン代表は選手の成長も著しく、さらにはNBAプレイヤーのジョーダン・クラークソンも代表にコミットしたことでロスター争いは激化。ロペスのポテンシャルの高さは国際的な試合でも十分に通用する実力を持っているが、粗削りな部分もあるため直近の代表メンバーからは外れているものの、将来性フィリピン代表の中心メンバーとなることを期待されている。
Pro tip: Always check your rearview mirror and make sure Francis Lopez isn't lurking around ⚠️ #AsiaCup pic.twitter.com/aeEXBHJuJx
— FIBA Asia Cup (@FIBAAsiaCup) May 8, 2023
大学での残り3年間の出場資格を放棄し、より高いレベルでの挑戦としてプロの舞台に選んだのは、アジア特別枠があり多くのフィリピン代表メンバーがプレイする日本のBリーグ。報道によるとFE名古屋への移籍が決まったとのことだが、まだチームから正式なリリースは出ていないため、今後どうなるかはわからないが、報道通りに2025-26シーズンからFE名古屋にコミットする場合は、大きな戦力アップが期待される。
FE名古屋は2024-25シーズンは30勝30敗で中地区5位でB1昇格以降は着実にステップアップしているチームである。アーロン・ヘンリー、ショーン・オマラの外国籍を中心に、成長著しい佐土原 遼、守備の要となる中村 浩陸と内尾 聡理、そしてベテランの並里 成と保岡 龍斗と高さはないもののバランスの良いロスター構成である。シーズン開幕前に獲得したマシュー・マイヤーの契約解除に始まり、ヘンリーの開幕前の怪我でシーズンに間に合わず、オマラの負傷離脱の中、ジャスティン・ハーパー、アイザック・バッツの獲得、その後にオルフェミ・オルジョビと契約となかなか序盤はチームの核が揃わない状況にあったものの、勝率5割とそのチーム力の高さが伺える。
来シーズンのロスターはどうなるかわからないものの、ロペスの加入が実現した場合、出場時間チーム1位のヘンリーのバックアップとしての役割を担うことが予想されるが、、並里、ロペス、ヘンリー、佐土原、オマラというラインナップも対戦相手からは嫌がられそうではある。
ロペスは、身長約198cm、体重約77kgという恵まれた体格を有するスモールフォワードで、プレースタイルは高い身体能力と機動力を活かしたダンクやブロックなどの豪快なハイライトプレーが目を引く。トランジションオフェンスでのプッシュも彼の大きな強みの一つで、その運動能力の高さから繰り出されるプレーは観客を魅了するだけでなく、チームに勢いをもたらす。ハイライトを見る限りはディフェンスのポジショニングに難があるように思うが、機動力を活かしたディフレクションやスティールと強靭なフィジカルでインサイドを守ることも可能。アウトサイドショットの数字は情報もなくハイライトでもほぼないので、インサイドへのアタックが中心になりそうである。ウィングプレイヤーでアウトサイドがないとなると、Bリーグの強度でどこまで活躍できるか少し不安材料はあるものの、それを補うに余りある身体能力の高さでコートを蹂躙する可能性も秘めている。
フィリピンバスケットボール界の将来を担う若き才能の日本での挑戦は、両国のバスケットボールファンにとって大きな関心事となるだろう。まだBリーグはレギュラーシーズンが終わったばかりだが、早くも来シーズンの動きに注目をしていきたい。
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