1936年オリンピック以来、中国に勝てていない日本代表
現在開催されているFIBAアジアカップ2025予選において、日本代表は2月22日にグアム代表を苦しみながら勝利を収め、続く2月25日は中国代表との1戦を控えている。そんな中、大会開始前にFIBAの公式からある記事が投稿された。
今大会の注目カードとして、日本代表と中国代表の一戦がフォーカスされ、日本代表が勝利を収める3つの理由として紹介されていた。

▼FIBA公式


今回注目したいのは日本代表が1936年のベルリンオリンピック以来、公式戦で中国代表に勝利を収められていないという部分である。
2000年代NBAプレイヤーであるヤオ・ミンを筆頭に、イ・ジャンリャン、ワン・ジージーなどビッグマンを要しアジア最強の称号を欲しいままにしていた。近年もジョウ・チーを筆頭にビッグラインナップでアジアを席巻していた。しかし昨年のワールドカップではカイル・アンダーソンを帰化選手と迎えたものの、一次予選全敗、アジア勢でも6チーム中4位と惨敗している。
日本代表はNBAプレイヤーの絶対的エースの八村塁を欠きながらも2024年のパリオリンピック出場を決めており、FIBAランキングでも日本が26位、中国は29位(2024年2月時点)と日本の方が「格上」とは見えるものの、そう楽観視もできないのが現実。


直近の直接対決4試合を振り返り
ここでこれまでの中国代表との直接対決を振り返りたい。

▼2021
FIBAバスケットボールW杯2023アジア予選 106-73
FIBAバスケットボールW杯2023アジア予選 79-63
FIBAアジアカップ2022 予選 90-84
FIBAアジアカップ2022 予選 66-57
▼2011
FIBAアジアカップ 84-58
▼2005
FIBAアジアカップ 86-53
▼2003
FIBAアジアカップ 88-60
▼2001
FIBAアジアカップ 126-67
▼1995
FIBAアジアカップ 73-61
▼1991
FIBAアジアカップ 105-62
▼1989
FIBAアジアカップ 94-70
▼1987
FIBAアジアカップ 85-69
▼1983
FIBAアジアカップ 105-79
▼1983
FIBAアジアカップ 95-71
▼1981
FIBAアジアカップ 71-60
▼1979
FIBAアジアカップ 70-68
▼1977
FIBAアジアカップ 110-81
▼1975
FIBAアジアカップ 80-59
▼1936
ベルリンオリンピック 35-19(日本勝利) 

そして、ここからは直近2021年の対戦4試合を動画で振り返りたい。

2021年6月16日:FIBAアジアカップ2022 予選
当時は2019年のワールドカップ、2021年東京オリンピックで指揮を執るフリオ・ラマスヘッドコーチのもと、富樫勇樹、安藤周人、張本天傑、竹内公輔、ギャビン・エドワーズがスターティングを務めた。その他にも金丸晃輔、比江島慎、竹内譲次、そして代表初選出の渡邉飛勇などがプレイ。この試合は約1年4カ月ぶりの公式戦となりなかなか流れを掴めず、フィールドゴール成功率も33.87%(21/62)とシュート精度を欠き57-66で敗戦した。

▼ロスター(在籍は当時)
#1 安藤誓哉(PG/アルバルク東京)
#2 富樫勇樹(PG/千葉ジェッツ)
#6 比江島慎(SG/宇都宮ブレックス)
#9 ベンドラメ礼生(PG/サンロッカーズ渋谷)
#10 竹内公輔(PF/宇都宮ブレックス)
#13 安藤周人(SG/名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)
#14 金丸晃輔(SG/シーホース三河)
#15 竹内譲次(PF/アルバルク東京)
#23 ギャビン・エドワーズ(PF/千葉ジェッツ)
#32 シェーファーアヴィ幸樹(C/シーホース三河)
#34 渡邉飛勇(PF/カリフォルニア大学デービス校大学院1年)
#88 張本天傑(SF/名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)

2021年6月16日:FIBAアジアカップ2022 予選



2021年6月19日:FIBAアジアカップ2022 予選
3日後に行われた第二戦では帰化選手枠でギャビン・エドワーズに代えライアン・ロシターを、バックコート陣に辻直人、篠山竜青、田中大貴を加えテコ入れを行った。スターティングは田中大貴、比江島慎、金丸晃輔、ライアン・ロシター、シェーファーアヴィ幸樹のビッグラインナップ。序盤は日本代表のシュートも効率よく決まり前回の敗戦で課題だったシュート成功率を上げ日本がリードする展開であったが、リバウンド争いとファールトラブルもあり最終第4クオーター残り4分で逆転され90-84と惜敗。終盤の苦しいところで得点を決めきれなかった決定力とリバウンドが試合を大きく分けた。

▼ロスター(在籍は当時)
#0 ライアン・ロシター(PF/宇都宮ブレックス)
#2 富樫勇樹(PG/千葉ジェッツ)
#3 辻直人(SG/川崎ブレイブサンダース)
#6 比江島慎(SG/宇都宮ブレックス)
#7 篠山竜青(PG/川崎ブレイブサンダース)
#10 竹内公輔(PF/宇都宮ブレックス)
#13 安藤周人(SG/名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)
#14 金丸晃輔(SG/シーホース三河)
#24 田中大貴(SG/アルバルク東京)
#32 シェーファーアヴィ幸樹(C/シーホース三河)
#34 渡邉飛勇(PF/カリフォルニア大学デービス校大学院1年)
#88 張本天傑(SF/名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)

2021年6月19日:FIBAアジアカップ2022 予選



2021年11月27日:FIBAバスケットボールW杯2023アジア予選
この大会から東京オリンピック女子代表を銀メダルへ導いたトム・ホーバスを指揮官に据え新体制となった日本代表。ホーバス体制の初陣では、富樫勇樹、比江島慎、アキ・チェンバース、シェーファーアヴィ幸樹、張本天傑がスターティングを務め、代表初招集の齋藤拓実、岡田侑大、そして帰化選手枠でエヴァンスルークがロスター入り。序盤シュートが決まらずリバウンドも取られ0-11と苦戦しつつ、ゾーンディフェンスや古川孝敏の3Pシュート、竹内公輔、藤井祐眞などの得点で徐々にペースを取り戻すも序盤のビハインドを取り戻すことができず63−79と完敗。中国代表に19本以上もリバウンドを多く奪われたのが大きな課題となった。

▼ロスター(在籍は当時)
#1 齋藤拓実(PG/名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)
#2 富樫勇樹(PG/千葉ジェッツ)
#3 エヴァンスルーク(C/ファイティングイーグルス名古屋)
#6 比江島慎(SG/宇都宮ブレックス)
#10 竹内公輔(PF/宇都宮ブレックス)
#11 アキ・チェンバース(SF/群馬クレインサンダーズ)
#19 西田優大(SG/シーホース三河)
#21 藤井祐眞(PG/川崎ブレイブサンダース)
#32 シェーファーアヴィ幸樹(PF/シーホース三河)
#51 古川孝敏(SF/秋田ノーザンハピネッツ)
#77 岡田侑大(SG/信州ブレイブウォリアーズ)
#88 張本天傑(SF/名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)

▼2021年11月27日:FIBAバスケットボールW杯2023アジア予選



2021年11月28日:FIBAバスケットボールW杯2023アジア予選
初戦から4名の選手を入れ替えベンドラメ礼生、岸本隆一、須田侑太郎、寺嶋良をロスターに加えポイントガードを総入れ替えし望んだ第2戦。スターティングはベンドラメ礼生、比江島慎、アキ・チェンバース、張本天傑、ルーク・エヴァンスで挑むもやはり序盤に攻め込まれる展開で第1クォーター10-29、第2クォーターで19-24と24点ビハインドと大差を付けられる。寺嶋良がチームトップの16得点、エヴァンスルークが15得点、10リバウンドのダブルダブルと気を吐いたものの73-106の33点差で中国に完敗した。3P成功率25%(32/8)と制度に欠きリバウンドを取られ失点する悪い流れを止められずホーバス体制でメンバー選考段階という部分を差し引いたとしても苦しい試合結果となった。

▼ロスター(在籍は当時)
#3 エヴァンスルーク(C/ファイティングイーグルス名古屋)
#6 比江島慎(SG/宇都宮ブレックス)
#9 ベンドラメ礼生(PG/サンロッカーズ渋谷)
#10 竹内公輔 (PF/宇都宮ブレックス)
#11 アキ・チェンバース(SF/群馬クレインサンダーズ)
#15 岸本隆一(PG/琉球ゴールデンキングス)
#17 須田侑太郎(SG/名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)
#19 西田優大(SG/シーホース三河)
#20 寺嶋良(PG/広島ドラゴンフライズ)
#32 シェーファーアヴィ幸樹(PF/シーホース三河)
#51 古川孝敏(SF/秋田ノーザンハピネッツ)
#88 張本天傑(SF/名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)

▼2021年11月28日:FIBAバスケットボールW杯2023アジア予選



中国代表を相手に歴史的勝利なるか
2024年2月25日に行われる中国代表との1戦では、世界が注目する日本代表の司令塔である河村勇輝がおり、ワールドカップで躍動したジョシュ・ホーキンソン、22日に行われたグアム戦で21リバウンドと代表初選出されたジョシュ・ハレルソンもおり、その他にも金近廉、川島悠翔などの勢いのある若手選手も名を連ねる。2021年の対戦メンバーからはガラリを変わっており、中国と対戦経験があるのは富樫勇樹、比江島慎の2名のみ。
グアム戦ではシュート精度に欠き、終始苦しい展開となったがディフェンスやルーズボールへのダイブなどで流れを引き寄せ77-56で勝利。グアム代表よりも格上の中国代表に対しては3Pシュート精度を上げ、序盤で勢いに乗りリードを奪う展開をしなければ勝利を掴むのは難しくなり、最初の入りがとても重要となる。リバウンドではホーキンソン、ハレルソンどちらが選ばれてもダブルダブルは計算できるだけに他のインサイドプレイヤーである川真田紘也の泥臭いプレイで中国代表をゴール下で仕事をさせないようにできるか、そしてコンディション不良で欠場した馬場雄大の出場があるか、阿部諒の代表デビューなどにも注目をしたい。

▼2024年2月22日:FIBAアジアカップ2025 予選



※追記
記事投稿後に中国戦のロスター発表・・・帰化選手はホーキンソンでした。
そして阿部諒は代表デビューならず。