韓国リーグMVPのダブルダブルモンスター!

2021年6月18日に、レバンガ北海道がショーン・ロングと契約を交わしたと発表された。

NBAのフィラデルフィア・76ersでのプレイ経験を持ち、オーストラリア、韓国などでプレイし2020-21シーズンは韓国リーグ(KBL)で得点王と外国籍選手のMVPを受賞した実績のある即戦力インサイドプレイヤー。そんな彼がどのような選手なのか紹介したい。


ショーン・ロング
Shawn Long


■プロフィール
出身    :アメリカ
生年月日  :1993年1月29日(28歳)
身長    :208 cm
体重    :112 kg
出身校   :ルイジアナ大学 ラファイエット校
ポジション :パワーフォワード/センター

■経歴
2016-17:Delaware 87ers (D-League)
2016-17:Philadelphia 76ers (NBA)
2017-18:Xinjiang Flying Tigers (CBA/中国)
2017-18:Delaware 87ers (G-League)
2018-19:New Zealand Breakers (NBL/オーストラリア)
2019  :Guizhou Guwutang Tea(NBL/中国)
2019-20:Melbourne United (NBL/オーストラリア)
2020-21:Hyundai Mobis Phoebus (KBL/韓国)
2021-22:レバンガ北海道


高校時代から数々の賞を獲得した注目プレイヤー!

1993年1月29日にアメリカのルイジアナ州モーガン・シティに生まれ、地元のモーガン・シティ高校へ入学。最初の2年間は怪我の影響でほぼプレイすることができなかったが、高校最後の2シーズンは平均してダブル・ダブルを記録する圧倒的なパフォーマンスをみせ、3年時には1試合平均21.4得点、15.0リバウンド、6.0ブロックを記録し全地区のファーストチームに選出された。
そして4年生時には平均21.4得点、15.2リバウンド、9.1ブロックを記録し26勝5敗に貢献。2年連続地区のMVPに選ばれ、さらに地区の最優秀ディフェンシブプレーヤーを獲得し全米にその名を轟かせた。

高校卒業後はサウスイースタン・カンファレンスに所属するミシシッピ州立大学へ入学するが、2011-12シーズンはプレイすることはなくシーズンを終えた。翌年のNCAAから移籍規定の免除を受け、ルイジアナ大学ラファイエット校へ移籍。2012-13シーズンから本格的にプレイすることとなる。

ルイジアナ大学でのルーキーイヤーとなった2012-13シーズンは、33試合中32試合に先発出場し、NBAで活躍するエルフリッド・ペイトンと共にチームを牽引し1試合平均31.1分、15.5得点、10.2リバウンド、1.0アシスト、2.0ブロックとルイジアナ大学史上3人目平均ダブルダブルを記録。ロングはサンベルト・カンファレンスの新人王とオールサンベルトファーストチーム、オールカンファレンスセカンドチーム、オールルイジアナサードチーム、そしてリバウンド王とルーキーイヤーから数々の賞を受賞。

2年目の2013-14シーズンも変わらないパフォーマンスを披露し、1試合平均18.6得点、10.4リバウンド、2.7ブロックを記録し全米で13人しかいない平均ダブルダブルを達成。さらに41人目のキャリア1000得点プレーヤーとなった。SBCトーナメント決勝戦ではジョージア州立大学に対し11得点、14リバウンドのダブルダブルを記録し82-81と接戦を制し優勝を手にした。NCAAトーナメント1回戦のクレイトン戦では23分間出場し15得点、7リバウンド、2ブロックと健闘するもののチームは66-76で敗戦した。
このシーズンロングは、オールサンベルトファーストチーム、NABCオールディストリクトファーストチームに選出された。

2014-15シーズンではこれまでエースとしてチームを牽引していたエルフリッド・ペイトンがNBAへドラフトされたことでロングに期待がかかった。1試合平均16.4得点、10.2リバウンド、1.5アシスト、1.6ブロックとエースとしてチームを牽引し、SBCで唯一得点とリバウンドの両方でリーグトップ5に入った。さらにルイジアナ大学とカンファレンス史上初となるキャリア2000得点、1000リバウンドを記録した選手となった。サウス・アラバマ戦では1981年以来となる20得点、20リバウンドを記録。2年連続でNABCオールディストリクトファーストチームとオールサンベルトファーストチームに選出され、ヒューストンで開催された2016年のファイナルフォーで行われる全米バスケットボールコーチ協会(NABC)の大学オールスターゲームに選出された。

2015年パンアメリカン競技大会でアメリカ代表としてに出場し、予選リーグのプエルトリコ戦に出場しベンチから10分間の出場となり5得点、1リバウンド、1スティールと本来のパフォーマンスを披露できなかったが、チームは銅メダルを獲得した。
最終学年となった2015-16シーズンは34試合中33試合先発出場し、1試合平均30.6分、キャリアハイ18.9得点、12.1リバウンド、1.4アシスト、1.8ブロックを記録。3年連続NABCオールディストリクトファーストチーム、オールサンベルトファーストチームに選出され、さらにサンベルト・プレーヤー・オブ・ザ・イヤー、サンベルト・オールトーナメントチームにも選ばれリーグ最高の選手としてチームを牽引したが19勝15敗でリーグ4位で2年連続NCAAトーナメントへ出場することは叶わなかった。

■2016 Sun Belt Conference Basketball Championship Men's Quaterfinals Highlights UL Lafayette vs USA



NBAを目指しGリーグでプレイ

大学ではエース級の活躍をしたものの、フィジカルの弱さとポストムーブなどの技術の低さが目立ちトーナメントでの強豪チームのインサイドプレイヤーと対戦した際に苦戦するシーンも多く、NBAのスカウト陣からはトッププレイヤーが揃うNBAで戦力となるのか疑問視された。2016年NBAドラフトへエントリーするもどの球団からも指名はかからず、サマーリーグに参加することでアピールをすることとなる。

2016年のサマーリーグではフィラデルフィア・76ersの一員としてプレイし、8試合中1試合先発出場し1試合平均13分、9.1得点、3.5リバウンド、1.3ブロックを記録しFG成功率58.3%、3P成功率53.8%と高い数字を残しアピールしたがNBAの下部組織Gリーグのデラウェア・87ersでプレイすることとなった。
Gリーグではポテンシャルの高さを披露し、1試合平均チームトップの20.2得点、11.2リバウンドの平均ダブルダブルを記録し、Gリーグのオールスターゲームに出場するなどリーグ屈指のプレイヤーとして活躍。その活躍もあり2017年3月6日に76ersにコールアップされ悲願のNBAデビューを果たす。

当時の76ersはドラフト1位でベン・シモンズを獲得するも怪我で全シーズン欠場が決まり、エースのジョエル・エンビートも左ひざの怪我で31試合のみプレイし残りシーズンを欠場。ロバート・コビントン、ジャリル・オカフォーなどの主力メンバーが相次ぐ怪我でシーズンアウトする中、チームも不振に陥っていた。ロングをコールアップした背景には怪我人の続出によりインサイドプレイヤーの補強を込めての意味合いが強く、ここでのアピールが生き残りのカギとなっていた。

ロングはミルウォーキー・バックス戦でNBAデビューを果たし、ベンチからの出場で15分間のプレイで13得点、7リバウンド、1アシスト、1ブロックと活躍。チームは敗れたもののデビュー戦では大きくアピールすることができた。その後も10分以上プレイ時間を与えられればほぼ2桁得点を記録する活躍を披露し、1試合平均13.0分、8.2得点、4.7リバウンド、0.7アシスト、0.5ブロックを記録しシーズンを終了した。ロングは、NBAへコールアップされるもAll-NBA G League 2nd Teamに選出された。

■NBAデビュー戦 vsミルウォーキー・バックス戦ハイライト



シーズン終了後の2017年6月28日に、76ersとヒューストン・ロケッツの間で2018年の2巡目指名権プラス現金でのトレードでロングはロケッツへ移籍。ロケッツの一員としてサマーリーグに参加し5試合に出場で1試合平均9.1分、4.6得点、3リバウンドを記録。しかし2017年9月26日にウェイブされフリーエージェントとなり、2017年10月10日に中国の新疆フライングタイガーと2ヶ月契約を結び、7試合で12.7得点、6.1リバウンド記録し11月中旬にチームを離れた。

その後2017年12月18日に再びデラウェア87ersと契約することとなり、2017-18シーズンはGリーグで33試合中18試合に先発出場し、1試合平均22.5分、14.6得点、7.7リバウンド、 1.4アシスト、0.9スティール、1.4ブロックを記録。再びコールアップされることを目指したが声がかかることはなく、新たな道を模索することとなる。

■Gリーグでのハイライトプレイ



アメリカを離れオーストラリアリーグでプレイ
2018年9月5日にオーストラリアリーグのNBLに所属するニュージーランド・ブレイカーズと契約し、新天地で新たなキャリアをスタートさせた。
2018-19シーズンの開幕戦では先発で23分間、10得点、7リバウンド、2アシストを記録、3試合目ではNBAのゴールデンステイト・ウォリアーズで活躍していたアンドリュー・ボーガット率いる強豪のサンディー・キングスと対戦し、先発出場で23分間プレイし17得点、10リバウンドのダブルダブルを記録しチームのエースとして活躍。28試合全てに先発出場し1試合平均27.3分、18.3得点、8.9リバウンド、1.5ブロックを記録し、オールNBLセカンドチームに選出される活躍をたもののチームは12勝16敗とプレイオフ進出は逃した。

■ニュージーランド・ブレイカーズでのハイライトプレイ



2019-20シーズンは同じオーストラリアリーグのメルボルン・ユナイテッドと契約し、開幕戦は古巣のニュージーランド・ブレイカーズと対戦。ロングは先発で28分間出場しチームトップの24得点、8リバウンド、1アシスト、1スティールと活躍するも勝利で飾ることはできなかった。開幕2戦目では13得点、11リバウンドのダブルダブルを記録しシーズン初勝利に貢献した。ラウンド4の週間MVPを受賞するなどレギュラーシーズンでは31試合全てに先発出場し26.4分、18.6得点、9.5リバウンド、1.0アシスト、1.1ブロック、0.9スティールを記録し、チームは15勝13敗でリーグ4位でプレイオフへ進出。コロナウイルスの影響でプレイオフの開催が危ぶまれたが無観客での開催に踏み切り、レギュラーシーズン1位のシドニーキングスと対戦。初戦は先発出場し27分間で23得点、11リバウンドのダブルダブルを記録するも80-86で敗戦し、第2戦ではこの試合ゲームハイとなる26得点、11リバウンドと2試合連続のダブルダブルを記録し試合も125-80と圧勝。最終第3戦は両チーム一進一退の攻防を繰り広げロングは17得点、9リバウンドを記録するも87-89で惜しくもファイナル進出を逃した。

■NBLプレイオフ第2戦のハイライトプレイ



韓国リーグで圧倒的なパフォーマンスを披露

2020年6月16日韓国バスケットボールリーグ(KBL)の蔚山モビスフェバスと契約。2020-21シーズン開幕戦はベンチからの出場で15分間の出場で8得点、2リバウンド、1アシストとまだチームに馴染む時間が必要そうであったが、開幕3戦目から先発出場すると26分間でチームトップの21得点、6リバウンド、3スティールを記録し初勝利に貢献。その後も57試合中55試合先発出場し1試合平均27.4分、21.3得点、10.9リバウンド、2.0アシストを記録し得点王とリバウンド王を獲得。さらに2020-21シーズンのKBL外国人MVPを受賞した。チームは32勝22敗でリーグ2位でプレイオフへ進出するも準決勝でリーグ3位の安養KGCと対戦し、ロングは第1戦は28得点、13リバウンド、第2戦は16得点、6リバウンド、第3戦は26得点、11リバウンドとチームを牽引するも3連敗を喫してシーズンを終了した。

■vs Shawn Long 2020-21 KBL Career High Game Full Highlights



新天地として日本のトップリーグを選択

韓国リーグでの圧倒的パフォーマンスから注目を集めアジアで圧倒的な活躍ができることが証明された。そんな中Bリーグのレバンガ北海道が獲得に名乗りを上げ晴れて契約に至った。
レバンガ北海道は2020-21シーズンは14勝45敗と東地区とBリーグが始まって5シーズンで一度も勝ち越したことがなく今シーズンは勝負の年となり、「Mr.バスケットボール」佐古賢一をヘッドコーチに招聘し、外国籍選手も3人新加入させるなどチーム改革を狙っていた。
開幕戦となった10月2日の広島ドラゴンフライズ戦では先発出場し、23分間で17得点、4リバウンド、2アシスト、1スティール、2ブロックと攻守でチームを牽引したものの75-83で敗戦し、日本デビュー戦を勝利で飾ることはできなかった。第2戦は29分間出場で21得点、13リバウンドと早くもダブルダブルを記録するパフォーマンスを披露するも孤軍奮闘が否めずチームは連敗スタートとなってしまった。
シーズン初のホームゲームで2連勝し勢いに乗るかに思われたがここ一番で勝ちきれずあとわずかなところで勝率5割を逃している。ロングは2021年最後の試合となった12月29日の群馬クレインサンダーズ戦ではリーグハイとなる44得点、10リバウンドのダブルダブルという驚異的なパフォーマンスを披露し勝利に貢献。第18節を終了して1試合平均22.4得点、9.4リバウンド、1.8アシスト、1.1スティール、1.0ブロックを記録し、得点は大阪エヴェッサのディージェイ・ニュービルに次いでリーグ2位と得点王争いに絡んでいる。
ここまでデモン・ブルックスと共にチームを牽引しており、勝率5割まであと5勝と迫っており東地区7位とまだまだプレイオフは射程圏内である。注目の得点王争いもフリースロー成功率が69.6%とキャリアでもそこまで上手くはないので、57.4%のFG成功率と共にどこまで上げられるかがカギとなりそうである。

■2021年12月29日 vs群馬クレインサンダーズ戦ハイライト