ヨーロッパで活躍した現ニュージーランド代表パワーフォワード獲得!

2021年7月20日に、宇都宮ブレックスがアイザック・フォトゥと契約を交わしたと発表された。


スペイン、ドイツ、イタリアなどヨーロッパを主戦場とし、ニュージーランド代表としても活躍し2019年のワールドカップでは日本と対戦したパワーフォワード。
2020-21シーズンまで在籍していたライアン・ロシターの穴を埋めるプレイヤーになれるか期待されている。
そんな彼がどのような選手なのか紹介したい。


アイザック・フォトゥ
Isaac Fotu


■プロフィール
出身    :ニュージーランド
生年月日  :1993年12月18日(28歳)
身長    :203 cm
体重    :104 kg
出身校   :ハワイ大
ポジション :パワーフォワード

■経歴
2012-14:ハワイ大(NCAA ディビジョン1)
2014-15:バスク・マンレサ(スペイン)
2014-17:バスケット サラゴサ(スペイン)
2017-19:ラティオファーム・ウルム(ドイツ)
2019-20:デロンギ・トレヴィーゾ・ユニバース(イタリア)
2020-21:ウマナ・ヴェネツィア(イタリア)
2021-22:宇都宮ブレックス


イギリス生まれのニュージーランド期待の新生

イングランドでプロのラグビー選手として活躍していたトンガ出身の父親とイギリス出身の母の間にイギリスのヨークで生まれた。7歳の時に家族とニュージーランドのオークランドに移住。2011年にランギトトカレッジでバレーボールとバスケットボールの両方で活躍し、2011年6月に中国で開催されたナイキ・オールアジア・キャンプのオールスターメンバーにも選出され大会ベスト5に選ばれた。さらにU17、U19、U21の各カテゴリーで代表選手に選ばれ、17歳時には最年少メンバーとしてニュージーランドフル代表にも招集され将来を期待されたプレイヤーであった。

高校卒業後の2011年7月4日に大学ではプレイせずニュージーランドリーグ(NBL)のニュージーランド・ブレーカーズと非契約育成選手として契約しプロの道を目指すも、2011-12シーズンは1試合のみの出場となり唯一出場したウロンゴング・ホークス戦では最後の46秒間のみの出場に留まった。2011年11月22日、プレイタイムを求めたフォトゥはハワイ大学への進学を決意。プロチームでプレイすればNCAAの規則に反するかもしれないとハワイ大学側から示唆され、入学許可書にサインしたのちはブレーカーズではプレイせず、2012年にNBLのハーバー・ヒートと契約したもののそこでもプレイすることはなかった。

■3x3の大会でニュージーランド代表としてプレイした際の紹介動画



ハワイ大学でも歴代最高レベルのプレイを披露

大学1年目となる2012-13シーズンは、デビュー戦のメリーランド・イースタンショア戦でスターターとして起用され29分間出場しシーズンハイとなる15リバウンドを記録する驚愕のデビューを飾った。さらにカルフォルニア州立フラトン戦では、1年生記録にあと1点と迫るキャリアハイの29得点を記録。レギュラーシーズン32試合中18試合に先発出場し、1試合平均25.1分、10.1得点、6.2リバウンド、1.0アシスト、FG成功率62.3%を記録し、ハワイ大学では2人目となるBig Westリーグ最優秀新人賞受賞。CollegeInsider.comのFreshman All-Americanにも選ばれた。

2013-14年の2年目には、31試合すべてに先発出場をし、1試合平均30.8分、14.9得点、6.1リバウンド、0.8アシスト、FG成功率58.4%を記録し、現地2014年1月25日に行われたUCアーバインとの試合ではキャリアハイの30得点を記録した。チームはプレイオフのファーストラウンドで敗退したものの、個人ではオールビッグウェスト・ファーストチーム、ハワイ大学の選手としては史上11人目のNABCオールディストリクト9セカンドチーム、アウトリガー・ホテル・アンド・リゾート・レインボークラシックMVP、オールビッグウェスト・アカデミック賞受賞し、3年目は飛躍の年となるはずであった。

しかし2014年10月29日、フォトゥはNCAAの調査により学生アスリートとして不適切な利益を受け取っていたことが明らかになり、2014-15シーズンのプレイ資格を剥奪されてしまい、チーム練習は参加できたが試合には出場できない状況となってしまった。その後、2014年11月3日にハワイ大学を辞め海外でのプロ契約を目指すことが発表された。

■2013-14シーズンのハイライトプレイ



ヨーロッパで再びプロ選手として飛躍

2014年11月12日にスペイン1部リーグのリーガACBに所属するCAIサラゴサと3年契約を結んだが、2週間後にバクシ・マンレサにレンタル移籍することになった。その後11月29日に行われたジョベントウ・バダロナ戦でデビュー。ベンチから13分間出場し2点、2リバウンドを記録した。翌12月7日には初のスターティングメンバーに選ばれ、試合は敗れたものの24分間出場し16得点、6リバウンド、1ブロックを記録し早速ポテンシャルの高さを発揮した。2014-15シーズンはマンレサで26試合中17試合に先発出場し、1試合平均23.8分、10.7得点、4.0リバウンド、0.8アシスト、FG成功率48.5%を記録した。

2015-16シーズンはレンタル移籍期間が終了しサラゴサにてプレイ。デビュー戦となった2015年10月11日のウマナ・レイヤー・ヴェネチア戦では21分間出場し、8得点、7リバウンド、2アシストを記録し勝利に貢献した。レギュラーシーズンでは34試合出場中19試合に出場し、1試合平均22.0分、7.6得点、4.4リバウンド、0.5アシスト、FG成功率48.3%を記録し、ユーロカップでは18試合中8試合に先発出場し、1試合平均20.2分、9.1得点、3.6リバウンド、1.1アシスト、FG成功率55.5%を記録しインサイドの要としてチームに貢献したが、13勝21敗でリーグ12位と成績は振るわなかった。

2016-17シーズンでは、32試合中22試合に先発出場し1試合平均25.0分、9.5得点、キャリアハイの5.7リバウンド、0.7アシスト、FG成功率60.3%を記録し個人としては更なる飛躍を遂げたが、チームは降格ギリギリの9勝23敗と昨シーズンよりも勝率を落とすことになった。

サラゴサとの3年契約が終了し低迷の続いたチームを離れ、ドイツリーグのブンデスリーガ(BBL)に所属するラティオファーム・ウルムへ移籍を決意。2017-18シーズンのデビュー戦では早速先発起用され25分出場、6得点、4リバウンド、1スティールを記録し、翌試合ではチームハイの23得点を記録。その後もコンスタントに活躍し33試合中31試合に先発出場で1試合25.4分、平均14.1得点、4.9リバウンド、1.0アシスト、FG成功率64.4%とキャリア最高のシーズンとなったが、チームは16勝18敗で勝率5割を超えられずリーグ10位でシーズンを終了した。

翌シーズンもウルムでプレイし、28試合中15試合に先発出場し1試合平均19.6分、7.0得点、4.0リバウンド、0.9アシスト、FG成功率56.2%と昨シーズよりも成績は落ちたもののチームはリーグ6位の20勝14敗でプレイオフへ進出。しかし1回戦でレギュラーシーズン3位のアルバ・ベルリンと対戦し一勝もできずに準々決勝で敗退してしまった。

■2018年時のスカウティングレポート



2019年7月に更なる飛躍を求めてイタリアリーグのセリエAに所属するデロンギ・トレヴィーゾ・ユニバースと契約。2019-20シーズンの開幕戦にスターティングメンバーとして29分間出場し、4得点、2リバウンドと物足りない数字でデビューしたが、第3戦ではチームハイの17得点、5リバウンドを記録しシーズン初勝利に貢献した。しかし、後半にコロナウイルスの影響でシーズンが中断されてしまったが、20試合中18試合先発出場し、1試合平均26.1分、14.1得点、5.2リバウンド、0.7アシスト、FG成功率57.1%を記録、チームは8勝13敗でリーグ13位でシーズンは終了した。

2020年7月に同じセリエAに所属し、昨シーズンリーグ9位のウマナ・ヴェネツィアと契約。開幕戦はベンチ出場で15分間で6得点、3リバウンドを記録し勝利に貢献。2020-21シーズンは、18試合中7試合に先発出場し1試合平均18.1分、8.5得点、2.8リバウンド、0.5アシスト、FG成功率62.1%を記録したが、2021年5月10日は
チームは好調をキープし19勝9敗とリーグ4位でプレイオフに進出し、1回戦ではリーグ5位のディナモ・サッサリと対戦し3勝2敗で勝利し、続くセミファイナルではリーグ1位のオリンピア・ミラノと対戦したが3連敗を喫してシーズンを終了した。

■2021年時のスカウティングレポート



ニュージーランド代表最年少選手の17歳でデビュー

2011年8月に中国の広州で開催されたスタンコビッチカップで、若干17歳とニュージーランド代表最年少選手で国際デビューを果たした。フォトゥは2試合に出場し大会優勝に貢献。さらに翌月には、イタリアで開催された第1回FIBA 3x3 World Youth Championshipでニュージーランド代表としてプレイし優勝をてにした。
その後もスペインで開催された2014年FIBAバスケットボールワールドカップにニュージーランド代表で出場し、アメリカ代表と同じグループCで戦いグループステージを4位で通過。決勝トーナメントではリトアニアと対戦し、25分出場し11得点と活躍するも71-76で惜敗。フォトゥはグループステージも含め6試合で1試合平均19.5分出場、9.5得点、4.5リバウンドを記録した。

2015年のスタンコビッチカップでは再びニュージーランド代表として優勝に導き、8月中旬のオーストラリアとのFIBAオセアニア選手権2連戦に出場。オーストラリア代表と対戦し、第一戦は先発出場で6得点、10リバウンド、3アシストを記録。翌第2戦では12得点、8リバウンド、8アシスト、1ブロックを記録しものの2連敗を喫してしまった。
2016年のオリンピック予選にも出場し、トニー・パーカー率いるフランスには破れたが続くフィリピン戦では17得点、5リバウンドを記録し勝利に貢献。グループステージを突破し決勝トーナメントへ出場し、多くのNBA選手を擁するカナダと対戦するが8分間しかプレイ3得点、1リバウンドしか記録できず、チームも72-78で惜しくも敗れオリンピック出場を逃した。

翌年の2017年に開催されたアジアワールドカップ予選では、韓国、中国、香港、シリア、レバノン、ヨルダンと対戦し10勝2敗でオーストラリアに次ぐ2位の成績で予選を突破。フォトゥは8試合出場し、1試合平均22.5分、13.5得点、6.1リバウンド、1.2アシスト、1.1スティール、FG成功率53.2%を記録し勝利に大きく貢献した。
そして2019年に行われたワールドカップでは、ブラジル、ギリシャ、モンテネグロと同組のグループFで戦ったが、唯一モンテネグロに勝利したが格上ブラジル、フランスには100点ゲームで敗戦。グループステージを突破することはできなかったが、順位決定戦で日本と対戦。28分間出場し23得点、10リバウンドのダブルダブルを記録し111-81勝利に貢献し、続くトルコ戦では30分間出場し17得点、5リバウンド、3アシストを記録し102-101と大接戦となった試合を制し、32チーム中19位で大会を終えた。

■2019年ワールドカップ ニュージーランドvs日本 ハイライトプレイ





優勝へのピースとしてブレックスへ入団!
2021年7月20日にフォトゥは日本のBリーグの宇都宮ブレックスと契約。昨シーズンチャンピオンシップまで進出し準優勝に輝いたが、チームを牽引していたライアン・ロシター、ジェフ・ギブスといったインサイドプレイヤーが移籍したため、新戦力として白羽の矢が立ったのがフォトゥであった。ピック&ロールの起点となることが上手く宇都宮ブレックスの戦術にフィットするプレイスタイルであり、機動力と長い腕でのディフェンスと体制を崩しても沈めることのできる柔らかいフックショットも魅力である。

群馬クレインサンダーズとの開幕戦はベンチからの出場ながら24分間でチームハイの18得点、6リバウンド、2アシスト、2スティール、FG成功率61.5%を記録し華々しいデビューを飾り、開幕4試合目の川崎ブレイブサンダース戦ではBリーグで初のダブルダブルとなる13得点、11リバウンドを記録しポテンシャルの高さを発揮した。
1月の第15節終了時点で26試合中24試合に先発出場し1試合平均12.9得点、6.0リバウンド、1.1アシスト、FG成功率56.6%を記録している。前半戦は好不調の波があったものの、チーム戦術やBリーグに慣れてきたこともあり、現在5試合連続二桁得点を記録し勝利に貢献している。
現在チームは17勝9敗で東地区4位とワイルドカードを除くとプレイオフ圏外。後半戦に向けて彼のプレイが上位進出の鍵となりそうだ。

■2021年10月1日ホーム開幕戦 対 群馬クレインサンダーズ戦