一時代を築き上げた選手たちがコートを去る
2005年から2016年、日本のプロフェッショナルバスケットボールリーグとして設立したbjリーグ。新リーグ発足は、プロリーグ化という大きな目的を10年間模索した結果、実業団チームとプロチームの狭間で揺れていた日本のバスケットボール界に一石を投じることとなった。今回はbjリーグの第一線で活躍し、長年支え続け、地元のファンのみならずバスケットボールファンに夢を与え続け、第一線を退くことを決めた選手たちにフォーカスした。



清水 太志郎



■プロフィール
生年月日 :1981.08.06 37歳
身長   :183cm
体重   :85kg
ポジション:ポイントガード/シューティングガード
出身地  :宮崎県
出身校  :小林高校 筑波大学

■経歴
2004-2005:大塚商会アルファーズ
2005-2010:埼玉ブロンコス
2010-2012:宮崎シャイニングサンズ
2012-2015:大分ヒートデビルズ
2015-2016:ライジング福岡
2016-2019:サンロッカーズ渋谷

■受賞歴
bjリーグ
オールスターゲーム出場5回:2006-07、2007-08、2010-11、2011-12、2012-13
週間MVP6回:2010年4月30日-5月5日、2016年3月4日-6日
月間MVP1回:2014年10月
コミッショナー特別賞:2009-10

 筑波大学を卒業後、2004年に日本リーグの大塚商会アルファーズへ入団。翌年の2005年に発足したbjリーグのトライアウトに参加し埼玉ブロンコスへ入団。低迷を続ける中、徐々に存在感を発揮し中心メンバーとして5シーズン活躍。2007-08シーズンからキャプテンを務め、チームの顔となった。その後は地元の宮崎シャイニングサンズに2シーズン、大分ヒートデビルズに3シーズンプレイし、平均2桁得点を記録。ライジング福岡に1シーズン過ごしたのちに、Bリーグ初年度の2016-17シーズンからサンロッカーズ渋谷でプレイ。ベテランとして若い選手の多いチームを牽引した。
そして、2018-19シーズンを残り2試合となったところで引退を表明。14年間のプロ生活に終止符を打った。
2019-20シーズンからはサンロッカーズ渋谷のアシスタントコーチに就任する。



与那嶺 翼



■プロフィール
生年月日 :1983.05.13 36歳
身長   :172cm
体重   :70kg
ポジション:ポイントガード
出身地  :沖縄県
出身校  :北中城高校 日本体育大学

■経歴
2006-2009:大分ヒートデビルズ
2009-2013:琉球ゴールデンキングス
2013-2015:岩手ビッグブルズ
2015-2019:金沢武士団
2019   :島根スサノオマジック

■受賞歴
bjリーグ
bjリーグ優勝:2011-12
オールスターゲーム出場1回:2012-13
コミッショナー特別賞:2008-09

 2006年に日本体育大学後、当時bjリーグに所属していた大分ヒートデビルズにドラフト外で入団し、持ち前のスピーディーな展開から的確なゲームメイクでチームにいいリズムをもたらしプレイオフ進出に大きく貢献。2009年に琉球ゴールデンキングスへ移籍するとチームの司令塔として、2011-12シーズンにリーグ優勝へ導いた。
絶対的なリーダーシップとゲームコントロールでチームを牽引し、キャプテンとしてチームメイトからも信頼の厚い選手であった。
のちに、岩手ビッグブルズ、金沢武士団、島根スサノオマジックでプレイし2018-19シーズン終了後に引退、そして岩手ビッグブルズのアシスタントコーチ兼アカデミーコーチに就任したことが発表された。



藤原 隆充

■プロフィール
生年月日 :1978.07.16 41歳
身長   :183cm
体重   :85kg
ポジション:ポイントガード
出身地  :福岡県
出身校  :小倉南高校 九州産業大学

■経歴
2001-2008:新潟アルビレックスBB
2008-2013:滋賀レイクスターズ
2013-2015:新潟アルビレックスBB
2015-2019:群馬クレインサンダーズ

■受賞歴
bjリーグ
bjリーグ優勝:2011-12
オールスターゲーム出場1回:2012-13
コミッショナー特別賞:2008-09

 九州産業大学からトライアウトを経て、当時2部にあたる日本リーグに所属していた新潟アルビレックスBBに入団。ルーキーイヤーの2001-02シーズンは、絶対的エースの庄司和広(現新潟アルビレックスBBヘッドコーチ)、平岡富士貴(現群馬クレインサンダーズヘッドコーチ)らと共に14勝0敗と圧倒的な強さでリーグ連覇に貢献し、新人王を受賞。
その後は、滋賀レイクスターズ、群馬クレインサンダーズなどでも活躍。闘争心溢れるプレイでチームを盛り立て、精神的支柱として欠かせない存在となった。
JBL、bjリーグ、Bリーグを経験した数少ない選手の一人として、男子バスケットボール界が陥った混乱からリーグが統一された現在の活況まで、多くのことを経験してきた。
そして、2018-19シーズン終了後に18年間の現役生活にピリオドを打つことを発表した。


岡田 優



■プロフィール
生年月日 :1983.07.04 36歳
身長   :184cm
体重   :76kg
ポジション:シューティングガード
出身地  :滋賀県
出身校  :東山高校 近畿大学

■経歴
2006-2010:高松ファイブアローズ
2010-2012:滋賀レイクスターズ
2012-2014:京都ハンナリーズ
2014-2016:滋賀レイクスターズ
2016-2018:富山グラウジーズ
2018  :西宮ストークス
2018-2019:東京八王子ビートレインズ

■受賞歴
bjリーグ
オールスターゲーム出場5回:2006-07、2007-08、2009-10、2011-12、2015-16
3Pコンテスト優勝3回:2009-10、2010-11、2012-13
週間MVP:2010年4月30日-5月5日、2016年3月4日-6日
月間MVP:2014年10月
コミッショナー特別賞:2009-10

 近畿大学に進学し、2年・4年時に関西リーグ優勝を経験。2度の3P王、そして得点王にも輝き、インカレには4年連続で出場。
大学卒業後は、高松ファイブアローズのトライアウトに合格し入団すると、洗練されたシュートフォームから放たれる正確無比なシュートを武器に、当時のbjリーグ最多記録となる9本の3ポイントシュートを沈めるなどの活躍で、ルーキーシーズンから全試合出場を果たした。
第1回bjリーグオールスターゲームにも主催者推薦で選出され、bjリーグ参加初年度となる高松ファイブアローズを準優勝へと導いた。
その後は、オールスターゲームで行われる3Pシュートコンテストに出場し、2連覇を含む3度の優勝、2009-10シーズンには1試合平均19.0得点し、日本人選手では初となるbjリーグ得点ランキングトップ10入りを果たし、bjリーグコミッショナー特別賞を受賞した。
長きに渡りbjリーグのNo.1シューターの座に君臨し続けたが、2018-2019シーズン、東京八王子ビートレインズでもプレイを最後に引退を発表し、13年の現役生活にピリオドを打った。



波多野 和也



■プロフィール
生年月日 :1982.04.19 37歳
身長   :195cm
体重   :95kg
ポジション:スモールフォワード/パワーフォワード
出身地  :ブラジル
出身校  :静岡学園高等学校 専修大学

■経歴
2005-2009:大阪エヴェッサ
2009-2011:埼玉ブロンコス
2011-2012:滋賀レイクスターズ
2012   :大分ヒートデビルズ
2012-2014:島根スサノオマジック
2014-2015:大分ヒートデビルズ
2015-2016:滋賀レイクスターズ
2016-2017:琉球ゴールデンキングス
2017-2018:島根スサノオマジック
2018-2019:ライジングゼファー福岡

■受賞歴
bjリーグ
bjリーグ優勝:2005-06、2006-07、2007-08
オールスターゲーム出場5回:2006-07、2007-08、2008-09、2010-11、2012-13

■日本代表歴
ジュニア(U-18)
ヤングメン(U-20)
ユニバーシアード(U-24)

 小学校3年生までのブラジルで過ごし、中学校でバスケットをはじめ、中学3年生時に県大会に出場。 静岡学園高等学校に進学すると、高校2年・3年生時にインターハイへ出場しU-18日本代表に選ばれ第16回アジアジュニア選手権大会に出場した。
専修大学に進学すると、青木康平、佐藤浩貴、長澤晃一、中川和之、中川直之、大宮宏正など「専修黄金期」と呼ばれるほどのスーパースター選手が集まる中、在学4年間で3度の優秀選手賞、ヤングメン(U-20)、ユニバーシアード(U-24)の日本代表のメンバーに選ばれるなど、異彩を放っていた。
大学卒業後、新設されたbjリーグの大阪エヴェッサからドラフト1巡目指名され入団。発足当初のbjリーグは外国籍選手の出場制限がなく、コート上の5人が外国籍選手となることもあった。その中で長身を活かした日本人リバウンダーとして起用され続けbjリーグ初代王者に大きく貢献。
2年目は全試合でスタメン出場し、持ち前の身体能力を活かし相手チームのスコアラーを封じ込める活躍で、bjリーグ連覇を達成。3年目では、オフェンス力を向上させコンスタントに1試合2桁得点を記録するようになり、攻守でチームの要として活躍。前人未到のbjリーグ3連覇に大きく貢献した。
2009年のオフシーズンに埼玉ブロンコスへの移籍をきっかけに、滋賀、大分、島根、大分、滋賀、琉球、島根、福岡と数々のチームを渡り歩き、移籍する先々で持ち前のフィジカルとリバウンド力を活かしチームの中心メンバーとして支えた。
2019年に、大阪エヴェッサが発足した3人制のチーム「EVESSA.EXE」のメンバーとして参戦。3x3.EXE PREMIER 2019のレギュラーラウンド終了後に、自身のブログで引退を発表した。


毎年、数々のプレイヤーが引退をしていくが、今シーズンほど一時代の終わりを感じることはない。
彼らがどれだけバスケット界に貢献し、ファンにインパクトを与えたか。寂しくはなるが、また違う形でバスケット界に携わってくれることに期待したい。